富山県・魚津市にある老舗のカマボコメーカー「河内屋」さんに行ってきました。
富山県人なら誰でも見たことがある巨大な鯛の細工かまぼこ。
富山の結婚式でよく配られる引出物のひとつですが、富山県以外の方がこの蒲鉾を見ると皆、目を丸くして驚かれます。
22年前、自分の結婚式の時も「蒲鉾はいつも食べているものだから、引き出物にいれなくてもいいんじゃないかな~?」と父親に軽口を叩いたら、「富山県人なら蒲鉾は引出物に付けるもんじゃーっ!ダラメーっ!」と父に鬼のように怒られました。。
それくらい富山県人はハレの日の食べ物として、結婚式や正月はもちろん、普段の食卓でも蒲鉾料理をよく食べる風習があります。
富山にとってなじみ深い食品ながら、それを作るところは見たことがなく今回知人の紹介により実現しました。
食品工場なので最初に手などを殺菌、服も白い作業服に着替え、慣れない服に戸惑いながらいそいそと工場に入ると、カマボコを作る大きな機械が目に入ってきました。(普段は写真撮影禁止です。)
見所は、例の「鯛かまぼこ」製作工程。
あざやかな蒲鉾職人さんの手さばきの元に、どんどん鯛蒲鉾にしていく様子はまさに神業です。この作業はやはり人の手により行われます。
日本人の嗜好の変化からかまぼこの消費量は減っているそうですが、この河内屋さんでは、いろいろな蒲鉾に挑戦されています。
可愛い花柄や動物柄のカマボコ。
蟹やあわび、穴子などの食材を利用した鮨カマボコ。
気軽に食べられるようにスティック状にしたチーズカマボコなどなど。
珍しい、ユニークだけではなく、どれも本当に美味かったです。(^^)
ウエブサイトではいろいろな蒲鉾が販売されており、見ているだけでも楽しくなります。昨年は日本オンラインショッピング大賞で『最優秀サイト賞』(小規模部門)に選ばれたそうです。
ところで・・・
この蒲鉾という食品は平安時代から食べられている歴史の古い日本の伝統食です。平安時代(1115年)の書物にかまぼこのことが記載されていることから業界では11月15日を「かまぼこの日」と定めているそうです。
今ではスーパーに行けば気軽に食べられるこの食品も、昔はハレの日のご馳走として扱われていました。日本のお正月に食べるおせち料理にかまぼこが必ず入っているのもそのなごりで、富山県では、結婚式に大きな鯛のかまぼこを引出物に入れる風習が残っています。地方により(料理法により)その呼び方はさまざまで、笹かまぼこ、巻かまぼこ、細工蒲鉾やちくわや薩摩揚げなどの練り製品も蒲鉾のひとつと考えられています。日本の周囲は、海に囲まれており、このように保存のきくいろいろなカマボコができたのも必然だったのかもしれません。