彫刻欄間を作る木彫刻作家「四家井 弘行氏」のところへ1年ぶりに訪問させていただきました。
四家井氏は1933年生まれ、日展入選15回、現代の名工や黄綬褒章も受章され日本の木工作家として最高峰を極めた御仁です。
幼い頃に両親を亡くし、両親の借金を背負い、学校を卒業するまでに借家を5回も転々とされ、16才で井波彫刻の道に入られた苦労人であるにもかかわらず、どんな方にも朗らかな笑顔で人と接する姿を拝見すると、こんな風に自分も歳をとりたいなぁといつも思います。
まさに「裸一貫」で人生を切り開いてきた人生の達人。
作品に共通して私が感じるのは「朗らかで、ふくよかで、見ている方に幸せを感じさせる作風」です。
伝統のものづくりは、製作する人の人柄や人生観がストレートに出てくるものだなぁとしみじみ思います。
彫刻欄間以外にも、重さ1トンもある大きな仏像や天神様、小さなねずみの置物までいろいろなものを彫られますが、「仁王像」のような厳しい形相にもどこか人間味のある親しみのある感じに仕上がっています。
また、写真の「五匹鯉」もふくよかな鯉が、躍動感にあふれて彫られており「黄金よ、こい!」とばかりに描かれています。
(ちなみに五匹鯉は、神代杉に彩色と彫刻を施し、立体的に仕上がっています。「隆起彫」の技法を使っています。)
日本には「縁起」という言葉がありますが、先生はいつも縁起が良い作品を目指されているとのこと。
作品を使用する方が少しでも笑顔に、幸せになるように・・
その家族に少しでも良いことがあるように・・・。
その方が健康で過ごされるように・・。
そういう願い、魂を入れた作品づくり。
タニハタの組子づくりもそこを目指したいです。