石川の輪島塗りを舞台にしたNHK朝の連ドラ「まれ」盛り上がってきましたね。
伝統工芸を生業にするものとして毎回「うんうん」と頷きながら見ております。
(笑いあり、涙あり 共感あり・・ 素晴らしいドラマです)
「輪島塗り」も「組子」も芸術作品ではありませんので、どんなに「素晴らしい!」「美しい!」という言葉をいただいても、最終的にはお客様に購入してもらわないと継続することができません。
お客様が製品を購入する際、大きなポイントになるのが「価格」。
そしてその価格を大きく左右するのが「コスト」になります。
このコストの部分は、伝統工芸の場合、職人の人件費が大きく占めています。
当然ながらこの職人の人件費を落とすと、製品価格は安くなり、売れる可能性がでてきます。
ドラマでは丁度このあたりのことを放送しており、「塗り」の回数を減らし、価格を下げもっといろいろな人に輪島塗りを使ってもらおう、という考え方とお客様に見えない「塗り」の部分にこそ輪島塗り、ものづくりの神髄がある、価格(サービス)が高くなってもここは絶対に手を抜けない、という考え方がせめぎ合います。
輪島塗に関わらず、「伝統」を生業にしているところは、この両方の中で揺れ動きます。その製作物はどこのだれのために作るのか・・・そこが判断の分かれ目だと私は思っています。案外作り手が「自分のために」作っていることが多いのです。
ところで先日、焼き肉で有名な「叙々苑」さん、金沢に日本海側初出店の記事が出ていました。うちが納品した組子も「輪島塗り」と一緒に写っていました。
北陸新幹線で賑わう金沢でありますが、お近くに来られましたら、ぜひ日本海側の伝統工芸対決 「組子対輪島塗」ご覧ください。