イギリスの大英博物館が保有する世界でも比類ないコレクションが日本にやってきた、ということで、ものづくりを生業としているものとして、見ておきたいという気持ちを抑えきれず「大英博物館展」を上野まで見に行ってきました。
この展示会のテーマが
「100のモノが語る世界の歴史」。
200万年前の石器から最近作られた工業製品まで100の「モノ」から「人類」の歴史を読み解く趣向です。
「モノが語る」。
命がないはずの「モノ」に日本人は命、魂、精神が宿ると考え、最後にはモノを「神様」にまでしてしまう・・ 神様がモノに宿り、人に語りかけるような商品づくりをすること。タニハタのものづくりの基本となる考え方で、そのプロローグで期待に胸をふくらませながら入館しました。
人の手で作られた古い芸術品、部品、道具、製品・・・
やはり生の持つ迫力、エネルギーには圧倒させられます。
たくさんあるモノの中で私が一番感動したのは1万4000年前に作られた<トナカイの角に彫られたマンモスの彫刻>。(写真)
彫刻といえば、ノミや彫刻刀を道具にして作業するイメージがありますが、この頃はまだ、そんな作業道具はあるはずもなく、多分、尖った石器などを利用して作り上げたはず。
その1万4000年前のアーティストの持つモノづくりへの情熱、エネルギーは、今も私達現代人の心を揺さぶります。
「人は根源的にアートを欲している。」
昨年のエジプト展も5000年前の宝飾品や美術品に大変感動しましたが、エジプトや古代中国の美術品は、どちらかというと権力者に対してのモノが多く、美しくはありますが、どこか緊張感がみなぎっている感じでした。
(中途半端なものを作ると命を落とす気の抜けないモノづくり。。)
しかし、この彫刻はどこかユーモラスで、暖かみが感じられます。
「どうだ これスゴイだろう! マンモス作ったぜ。」
少し自慢げに仲間に見せていた当時の人の心根、ユーモア、精神の自由性を感じました。