1933年 日本の作家「谷崎潤一郎」はその著書「陰影礼賛」の中で日本的な美は「陰翳」、つまり「影」に宿ると書きました。
生活道具から工芸品、建築、トイレに至るまでこの大地で我々の祖先が作ったもの、儀式は「陰翳」でこそ映え、より一層の美しさを増すと。
光と影にたたずむ生活。
日本人が古来持ち合わせていた美意識。
日本の家から四季を感じることができる「庭」がなくなり、日の光が家の中に差し込むことが少なくなった頃から、日本人の何かが変わってきたのかもしれません。
先日、新宿の組子ギャラリーに立ち寄った際、床をふと見ると組子の影が映っていました。
最近はLED照明を組子の背面から当てることが増えたのですが、床に組子の影が映り込むことはありません。
時間と共にうつろう日の光と影。
そういうものを意識する心の余裕も持ちたいものだなぁ・・と感じた次第です。