組子桟の強度試験を富山県農林水産総合技術センターにて実施しました。
実験はシンプルなもので「麻の葉文様」の葉っぱ交差部分に直径13ミリの芯棒を上から少しずつ力をかけて押し込みします。
(一分間に1ミリのスピード)
交差部分(麻の葉組子が一番弱い部分)が破損した段階で試験は終了で、何キロの荷重に耐えられるか数字を出します。
試験品:<麻の葉文様> 標準柄 大柄
木材:ヒノキ材 (すべて同じ丸太材のものを使用)
製作者:タニハタ 下屋敷工場長
●標準柄
A タニハタオリジナル接着剤
B 木工ボンド(市販品)
C 接着剤なし
●大柄(標準柄の二倍ピッチ)
D タニハタオリジナル接着剤
E 木工ボンド(市販品)
F 接着剤なし
合計六点の試験品を用意して実験しました。(上写真 見た目すべて同じです)
実験の結果・・・
●標準柄
A 19.4 kgf タニハタオリジナル接着剤
B 16.9 木工ボンド(市販品)
C 9.6 接着剤なし
●大柄
D 14.7 タニハタオリジナル接着剤
E 9.5 木工ボンド(市販品)
F 4.7 接着剤なし
Aの組子が一番強度があり(約19キロ)、Fの組子が一番弱い(約5キロ)ということがわかりました。
数値化するとよくわかります。
意外だったのは、<桟の太い大柄の方>が弱いという結果になったこと。
また、DとEでは強度差が50%もの差がありました。
接着剤の違いによっても大きな差がでたということがわかりました。
「組子の強度はどれくらいあるの?」と聞かれることがあり、今回の実験を行いました。
組子細工は、見た目は同じようなものでも、製作する職人(マス目、葉っぱの精度)、接着剤の種類、樹種、木材の乾燥具合により、組子の強度や耐久性に大きな差がでてきます。
最近は、不特定多数の人が出入りする商業施設に大判サイズの組子を設置することが増えました。繊細さが特長の組子細工ですが、強度、耐久性、安全性が求められることも多くなりました。
組子細工は、設置してから数十年~数百年の長期間使っていただくもの。
お客様にいつまでも安心してご使用いただくためにタニハタではこれからも公的試験場でテストを行い、その結果を公表していきます。
●昨年は、接着剤の化学物質検査を行いました。
富山県農林水産総合技術センター 木材研究所は、昭和44年に開設した富山県の公的試験機関です。
木材の加工、利用技術の高度化に関する研究をしている木材研究所です。
タニハタでは、組子や木材の強度に関する試験などを依頼しています。