タニハタの社員達で名古屋研修旅行に行ってきました。
今回、男性3名女性1名が参加できずで、総計18名の人数での旅行となりました。
前回の吉野杉研修(日帰り)から2年ぶり、宿泊研修ではシンガポール以来で3年ぶりになります。
名古屋は歴史とモノづくりの都市ということで、見所満載で大変勉強になった研修旅行になりました。
【名古屋城 本丸御殿】
まずは名古屋城 本丸御殿。
本物の本丸御殿は、戦災で燃えてしまい、平成21年から約10年にわたって復元工事が行われたとのことです。
(現在も天守閣など工事が続いています。)
華やかな欄間や襖絵、天井格子・・・そして木曽ヒノキ材の建具が惜しげもなく使用されており、名古屋らしく「絢爛豪華」の一言。
私は、仕事に関係している木製建具・・・ネジ組みや組手越しの木工技法を使ったや障子や襖、欄間に目を引かれました。
(というか職人達も職業柄、そこばかり見ているぞ。。)
城中に使われているヒノキは柾目が細かく真っすぐに通った上質なもので、どれだけの時間をかけてこれだけの材料を確保したのだろう・・・
ここの製作に関わった林業、製材業、建築関係の仕事をされている方達の仕事ぶりに思いを馳せました。
昔、法隆寺の宮大工棟梁だった西岡 常一さんが、仕事がない時期でも「民間の建築仕事は仕事の腕が落ちるからやらない」
と家族の生活を犠牲にして自分の仕事を貫く姿に「自分だったらどうだろう。。」と考えたことがありました。
名古屋城に使用された調度品や内装材の仕事をみて、ふとそんなことばかり頭に浮かびました。
【トヨタ産業技術記念館】
建物の規模、構造、展示などスケールはもちろん内容の奥深さと全てにおいてさすが世界のトヨタだと圧巻されました。
年間パスが設けてあるのも納得で、改めて時間をかけてゆっくり訪れてみたいと思いました。
正直、機械の仕組みなどはよく分かりませんでしたが【研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし】という豊田佐吉の精進が技術の発展という形で受け継がれていることを素直に感動しました。
組子製作においても常識にとらわれない独創的な発想や研究は、より高みを目指すためにとても大切なこと、ものづくりの根幹をみる思いがしました。
【カゴメビル】
大手食品メーカー カゴメ様のカゴメビルに納入した組子を見にいきました。
入口入ってすぐの真正面に組子を設置していただいており、会社の第一印象になる大切な場所に設置していただけたことが本当にありがたいことだと思いました。
私達が時間をかけて製作した組子を実際に見ることができ、改めて心を込めたモノづくりを続けていきたいと思いました。
【ノリタケの森】
絵画は額含めて楽しむものだと、以前パリのルーブル美術館で強く思いましたが、料理は皿ごと楽しむものだと、ノリタケの森で学びました。
最近は、当社の組子も高級レストランで使用されることが増えましたが、それも料理の延長線上にあるのだなぁ・・と改めて感じました。
料理に恥じない仕事をしなくては。。
【熱田神宮】
2日目の朝は神宮参り。天気も良くスカッと気持ち良かったです。心が洗われた感じがしました。
熱田神宮は、日本の神様「天照大神」から授けられた三種の神器「鏡(伊勢神宮)玉(皇居)剣」のうちの一つ、「草薙御剣」が祀られています。
1900年前の日本の天皇一族の伝説からつくられた神宮で、国宝級の宝物が数多く納められているとのこと。
草薙館では刀を実際に持つことができるブースがあったので、体験してみました。
8kgと10kgのかなり長い刀は両手で持ち上げても中々持ち上がらず・・・
織田信長が桶狭間の戦いに勝利したことによって立てさせた塀が今でも熱田神宮の中に残っていました。
名古屋市の中心にあると思えない深い森で、幹周り8m、高さは20mの樹齢1000年楠のご神木もありました。
【美濃和紙会館】
1300年以上の歴史のある岐阜の美濃和紙は2014年、ユネスコ無形文化遺産になりました。
関ケ原の戦の際、徳川家康公が軍勢を指揮するときに使用した「采配」は、美濃和紙で作られおり、合戦で勝利した家康公は、美濃和紙を縁起物として江戸幕府の御用紙としたとのことです。
美濃和紙会館は、そんな美濃和紙の歴史や技術、和紙の素晴らしさを知ることができる建物です。
組子と紙は相性も良く、セットで使用されることが多い素材でもあります。
ということで職人達で和紙づくりに挑戦してみました。
和紙の作り方
原料:楮(こうぞ) トロロアオイ 綺麗な水
※和紙を漉くときに、楮の繊維の広がりを均一にするために、トロロアオイの根から採れるトロトロの粘液が使われます。
楮を窯で煮る→水洗い・塵取り→打解→とろみのついた水を混ぜる→和紙漉き作業→干す の流れです。
これらの作業をすべて行うと、その日のうちに富山に帰れなくなりますので(!?)作業を短縮した体験になります。
職員の方にサポートしていただき、何とか完成。。
紙のすき方のコツがなかなかつかめず、上手くできるまで再挑戦したいと思いました。
タニハタでも学生団体向けに組子製作体験を行っておりますが、この和紙体験はいろいろ工夫されており、参考になることが多かったです。
素晴らしい体験でした。感謝。
【豊志海館】
実は、今回の研修旅行で一番楽しみにしていたのは名古屋市にある「豊志海館」でした。
ここは、トヨタグループの創始者「豊田佐吉氏」を支えた大番頭「西川秋次氏」の邸宅を改装し、トヨタグループの迎賓館へ改装した建物です。
この建物に4年前、タニハタの美術組子を納入させていただきました。
一番メインとなる場所に設置させていただいたのですが、世界各国の賓客、要人をおもてなしするため、セキュリティが大変厳しく、私達のような納入業者でも気軽に入れる場所ではなく、見学は無理とあきらめていました。
トヨタ様の好意で「平日ならば見学可能」ということで入館させていただきました。
施設の印象はとても上品で全てが素晴らしく、組子を美しく見せる為にはこれ以上ない空間になっており、職人冥利につきる現場となっていました。
今回ご紹介した上記の場所以外にも、取引している業者様の工場やホテルなどいろいろな場所を見学いたしました。
コロナ禍で最後まで迷った研修旅行でしたが、予定を組んで本当に良かったと思いました。
今回の研修旅行で学んだことを、これからの組子づくりに生かしていきたいと思います。