タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

「天然砥石」と「大工道具」の産地へ

天然砥石と大工道具の産地へ

稲毛 梓


タニハタの職人3人で京都の砥石屋さんと、兵庫県三木市で行われた三木金物まつりへ行ってきました。

1日目は京都府亀岡市に店を構える砥取家(ととりや)様へ天然砥石を見に行きました。
ちなみに鉋(かんな)などの刃物を研磨する砥石(といし)には「人造砥石」と、自然物から作成された「天然砥石」があります。
天然砥石の産地と言えば昔から京都ということですが、数多くあった砥石山のほとんどが閉山し、本格的に採掘を行っているのは砥取家の土橋さんだけとなってしまいました。
砥取家さんの大きな特徴は数ある砥石全てを試し砥ぎさせてもらうことができ、自分に合った砥石を選ぶことができます。

私も実際にいくつもの石を研がせてもらい、研磨力、砥ぎ感の違いを体験しました。

組子職人 タニハタ 組木
砥石 鉋 木工

石によって違いがあることを知識では理解していましたが、違いを体験して感じた感動は忘れられません。とても興奮しました。
いろいろ砥石を使用してみて、自分に合った石を購入させていただきました。


---------

2日目は兵庫県三木市で行われた三木金物まつりに行き、大工道具を見てきました。

現地に着いてみて予想以上に出店数が多く県を上げた一大イベントなのだと感じました。


行く前は凄腕の職人さんが沢山いるのだと思っていましたが、実際は家族連れや外国人の方も多く見られました。出品されていた製品も大工道具以外にコテ、包丁、鋏、チップソーなど金物全般から、金物や道具に関係するものまで多く置いてありました。

鉋の販売

道の駅や高速道路のサービスエリアにも大工道具を販売する店があり、「金物の町」の雰囲気がとても印象的でした。

日本で最初の金物のまちと言われる三木市ですが、その起源は、五世紀の中頃から始まっており、朝鮮半島にあった百済の王子「恵」が日本に亡命してきた時に連れてきた技術集団がこの三木の地で金物を作ったことが始まりと言われています。

今では新潟の三条と並んで日本を代表する金物の地と言われています。
-----------------

今回、私は現地の方達の声を聞いて印象に残った言葉があります。

「若い人が興味を持って見に来てくれることが本当に嬉しい」という言葉でした。

職人の使う道具が「手道具」から「電動工具」「木工機械」に変わってしまい、手道具を使いこなす職人が減ってきています。

そんな中、昔ながらの手道具を今でも守り続けてくださる職人さんがいることは私達にとっても大変心強いことですし、とても大切な存在だと言えます。その想いが詰まった道具を使う一人の職人として、道具に恥じぬ仕事をタニハタで続けていきたいと思いました。



※翌週、富山の隣の糸魚川市で「鉋けずり大会」があり、2日間行ってきました。
砥石や鉋も重要ですが、それらを使いこなす職人技術も重要です。
日本中からたくさんの職人達が集まっており、素晴らしい木工技術を見ることができました。
職人として心が高鳴る一週間でした。