2023年 今年を振り返るとタニハタでもいろいろなことがありました。今年の出来事をまとめてみました。
●海外との取り組みについて
2023年は海外販売の比率が大きく高まった年でした。
今年は全売上の中で海外販売の占める割合が20%を超える年となりました。コロナ禍になってからは一時10%にも満たない状況になっていましたが、新型コロナが落ち着いたこともあり、多くの海外企業から問い合わせや注文、訪問が急増しました。
具体的には、イギリスやアメリカ、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾など多方面の国から注文をいただきました。
また、8月には日本政府のSNS「Japan – The Government of Japan」にタニハタの組子が動画投稿され、国内外から多くの反応をいただきました。
最近は「KUMIKO」で海外の方と会話が通用することも多くなりました。組子細工が「寿司 Sushi」「盆栽 Bonsai」などのように世界に通じるワードになってきていると感じます。
組子の海外展開を始めてから20年以上経過していますが、やっとここまで来たか・・・という思いです。
また、海外からの工場見学者も増えて、多くの国の方と交流をすることが増えたのが印象的でした。
引き続き、組子細工の歴史や富山のモノづくりなどについて発信していきたいと思います。
・スウェーデン王立リンショーピング大学の学生が来社
・パリの家具職人が来社
・アメリカのワシントンD.C.から6名のご家族が来社
・台湾と中国からインバウンドツアー客が来社
・「日韓親善交流事業」にて韓国の青年団30名が来社
・海外でのイベントやプロジェクト
・海外から「自分の作った組子をみてほしい」というメールも増えて、今年だけでドイツ、アメリカ、イスラエル、エジプトなどから写真や動画を送ってこられました。
YouTubeなどの動画で(独学で)組子細工を作る方が増えて、素晴らしいと思います。
当社でも組子の技術動画を二カ国語で発信し、アクセスも増えています。来年も引き続き組子の技術動画を世界に発信してまいります。
・海外の富裕層旅行をターゲットとした、ハイエンド・クラフトツーリズム「DENTO」の事業に参加させていただくことになりました。
(2023年夏より)
発起人は元エルメス・インターナショナル副社長の齋藤峰明氏と株式会社日吉屋 西堀 耕太郎氏、日本の窓の代表 Avi Lugasi氏の3名。
「DENTO」では日本の伝統工芸の継承と地域の活性化を支援するネットワークを構築しています。
●組子製品について
製品では当社のオリジナル組子「麻の葉ちらしシリーズ」の販売が大きく伸びた年でもありました。来年2月には新しいデザインも発表する予定です。
また、当社のオリジナルの杉材「利休杉」の数字も伸びてきました。
杉材やヒノキ材の白木は、ダークな色調の空間に馴染まない色味でもあったのですが、利休杉は、塗装せずともダークブラウンの高級な空間にも馴染む木材でもあります。(下記写真) 来年は有名な施設への設置予定が見込まれており、当社の主力材料になっていくと思われます。
他
ここ数年で若い組子職人が増えて、積極的に休日を利用して展示会や道具の産地、話題の建築など見にいくようになってくれたことが嬉しいことです。組子技術、木工技術がどんどん向上して、ぜひとも新しい組子の可能性を若い職人達で広げてもらいたいと思っています。
・砥石 大工道具の産地へ
・山形県ウッドデザイン賞作品 視察ツアーへ
・ポケモン×工芸展へ
・家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市へ
その新しい組子のひとつ「立体組子」もニューヨークのデザイナーEric Clough氏と共同して発表させていただきました。美しい日本の文様が世界に広がっていくことは当社にとっても喜ばしいことでもあります。
●気候変動の取り組みついて
今年は、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が現在の地球の状況を「地球温暖化」から「地球沸騰化」になっている、と表現した年でした。 沸騰するような猛暑を体感したことで、世界で温室効果ガス削減の機運はますます高まってきました。
実際今年は日本全国、本当に暑い日が続いた年でもありました。
当社では2011年からエネルギー問題に取り組んでおり、今年もCO2を極力発生させない生産活動を進めてまいります。
SDGs関連の勉強のために中学生、高校生の工場見学が増えました。若い感性でこの時代をどう捉えているのか・・情報交換しています。
社有車2台を日産の電気自動車(アリア、サクラ)に代えましたが、その環境に配慮した自動車「アリア」の内装には組子「籠目 捻組み目つぶし」の文様が使用されており、ノベルティ販売でも当社は今年協力させていただきました。
●その他
・2月、富山県の製造業の活性化に貢献した企業をたたえる「第8回富山県ものづくり大賞 優秀賞」に選ばれました。
・日本の木製家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市「旭川市工芸センター」様で講演。組子の歴史や文様のこと、日本のものづくりについて講演させていただきました。
日本のものづくり企業として、来年も社員達と共に頑張っていく所存ですので、引き続きご支援いただければ幸いです。
どうぞ皆様よろしくお願い致します。
最後に・・・
先日、翻訳家の戸田奈津子さんら映画関係者の方が来社。組子のワークショップも体験していかれました。
ハリウッド映画のお話しなど映画好きな職人が多いので大変盛り上がりました。
来年も時間が許す限り、ワークショップを行って行きたいと思います。皆様に感謝です。 谷端信夫