久しぶりに木材の競りに行ってきました。
朝5時に車に乗り込み、9時30分に現地に到着。タニハタの工場がある富山県の隣には、長野県木曽地方や岐阜県東濃地方といった数百年続く有名な木材産地が多く存在しています。これらの場所は工場から日帰りで行ける場所にあるので本当に助かります。
ちなみに、魚や果物などの食べ物に「旬」があるように、木材にも「旬」があります。
木は春から夏の温かい季節に水を地中から吸い上げ、ぐんぐん成長します。秋から冬の寒い時期には水の吸い上げが弱くなり、木材の保有水分が少ないため、カビや虫などの害虫も付きにくくなります。この時期に伐採した木材は耐久性や色つや、香りも良いと言われています。
上記の理由で秋から冬に切った木材が「旬」ということになります。
3月は、秋から冬にかけて切られた「旬」の良質な木材が並び、また製材会社なども決算時期ということで通常入荷しないような良材を頑張って出品してきます。
タニハタでも少しでも良い木材をお客様にお届けしたいという気持ちから、3月は必ず直接私が木材産地にまで出向き木材を競り落としてきます。
もちろん中には組子に向いていない木材も多いので、しっかり目利きして競り落とします。
競り落としたものは、半年~1年ほど天然乾燥させて組子の木材に使用します。
こういう手間がかかることを嫌がって、多くの木材加工業者は無垢木材から人工木材に切り替えていきました。本当の組子とは言えない「組子風」な製品も最近多く出回っていますが、私たちは木材の産地、品質にもこだわり、さらに工場内でも熟練の職人が選別して製品に仕上げてきます。
胸を張ってこれこそが日本の木材、伝統技術というものを残していきたいと思っています。
樹齢150年のヒノキも競り落としてきました。
木目が詰んで細かく、色艶も最高級のヒノキ材です。産地でもなかなかこういう木材は手に入りません。
昔からある木材産地のものは、木を伐採するだけでなく、山に苗木を植林し、間伐や手入れなどを行い、また次の伐採に向けて木を管理していきます。
気が遠くなるような手間ひまをかけて木材を作り上げていきます。
タニハタが国産木材にこだわるひとつには、こういうシステムを私たち川下の加工業者も意識していかないと有名産地であっても林業が立ちゆかなくなってしまう危機感があるからです。産地がないと当社も良質の木材が手に入らない状況になってしまいます。
海外産の木材や人工木材が、木工業界の主流を占めてしまった現在、少しでも多くの方に国産無垢材の良さを知っていただきたく思っております。
そして山で大切に育てられた木材、私たちも大切に使っていきたいと思います。
谷端