タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

ニューヨーク デザイン研修に参加

NYの空に思いを馳せて ― 組子の可能性

西川 万喜子
谷端 美穂



10月14日(土)〜10月21日(土)の日程でニューヨークに出張に行ってきました。

目的は、ニューヨークのお客様訪問、組子細工の現場設置確認、および世界最先端のアートやデザイン、建築を学ぶことで当社の組子デザインに生かすことでもあります。

初日と最終日の移動日を除いては気持ちの良い秋晴れの日が続きました。

ブルックリン橋。
茶色の鋼鉄が大空に映え、橋自体が美術館や建築愛好家の夢を形作っているようで、この鋼鉄のなんともいえない美しさがとても気に入りました。
映画「ニューヨークの恋人」「アメージング・スパイダーマン2」など映画や文学に登場する有名な場所です。

この後、212boxのデザイナー Eric Clough氏にお会いしました。

オフィスに足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは麻文様の立体組子のチェアでした。
NYの整然と並ぶビル群の背景に立体組子が融合してデザインオブジェとして成立し、イメージしていた何倍も美しく感じました。

エリック社長は、お話の中で立体組子の様々な構想を語ってくださいました。
打ち合わせを進めていくと組子を使った彼のアイディアとこれから始まるプロジェクトを、すらすらと手品のように私達に見せてくれました。

彼は組子の形や色を自由に変えて、空間に合わせて作品をデザインします。
タニハタではまだ製作したことがないような加工や組み立てが多く、実現のためにはたくさんの検証が必要だということを痛感しました。

そして彼がデザインしタニハタで製作した立体組子の納入先の会社にアポイントを取っていただき、実際に見に行くことができました。

場所はロックフェラーセンター。
クリスマス時期になるとクリスマスツリーの点灯場面が毎年ニュースで放映される場所です。
このビルの中に設置された組子を見に行ってきました。

個人スペースとして利用する空間に納入されていました。

スペース内に入ると、立体組子の表面の凹凸がまるで呼吸しているかのようで何とも言えない安心感に包まれました。

平面的なデザインとは異なり存在感を感じさせ、模様が生き生きとしており、まるで組子自体が生命を持っているかのようでした。

案内してくださった社員のロージーさんもとても素敵な組子で本当に気に入っていると言ってくださっていました。

翌日、IPPIN PROJECT様を訪問しました。

オフィスはブルックリンの商業施設内にある1ブースで入り口側にはセレクトショップがあり、奥にオフィススペースがあります。

看板に組子が設置されていました。

IPPIN PROJECT /CRAFITS Inc. 代表の金子様にはニューヨークの代理店として、アメリカでの組子販売を行っていただいております。
(2014年から取引させていただいており、もうすぐ10年。。)

タニハタ組子もたくさん展示していただいており、NYのお客様からお問い合わせいただいた際にはこの場所をお知らせしています。

彼の熱意と尽力がなければ、今のように組子がニューヨークに普及することはありませんでした。心から感謝です。

四人で記念撮影

昨年ニューヨークに納入した日本食レストラン”酒蔵”様にも行ってきました。

設置された施工写真を何度も見ましたが、実際に納入した組子を間近で見ると本当に感動しました。
組子の後ろにある照明はかなりこだわって施工していただいたそうで、組子の裏側に当たる照明と組子の下からはみ出る明るさのバランス実験を繰り返し、かなり時間をかけて設置されたと聞きました。
そんな現場でのこだわりのお陰で組子がこんなに美しく輝いているのかと感心し、その熱意に心から感謝しました。



モルガンライブラリーを訪れました。 
モルガンライブラリーは、1906年に銀行家で美術コレクターのピアポント・モーガンによって建設されたこの建物は彼の膨大な美術、文学、歴史的なコレクションを収めるために設立されその贅沢な建築と内装で知られています。
部屋は赤い壁紙や木製の本棚、大きな暖炉などで豪華に飾られており、当時の雰囲気を感じることができました。特に印象的だったのは、天井が高くドーム型になっている円形の広間です。
ここは元々モルガンの書斎だった場所で、壁面には彼が収集した貴重な書物や絵画が並んでいます。モルガン・ライブラリーは、建築や装飾、展示品などのすべてが美しく調和しており、一つの芸術作品でした。

<メトロポリタン美術館><MOMA 美術館><グランドセントラル駅><9.11メモリアル>・・・
いろいろ施設を見学し、圧倒された5日間でした。

NYの町は富山での生活では見ることのできないようなデザイン・アートであふれ、わたしたちはただただ子供のように感動し続けました。

五感をフルに使い、全身を使ってNYを堪能し毎日クタクタに疲れていましたが、感動で目が冴え睡眠時間が半分になるほど感情の琴線が張っていた一週間でした。

NYのたくさんのデザインや刺激的な環境に触れた後、セントパトリック教会の静謐な雰囲気は、わたしたちの少し疲れた心を癒してくれました。

NYの広大な空の下での経験は、富山での生活の中で自分がどれほど小さな考えにとどまっていたかを気づかせてくれました。

もの、景色、人々、NYでの様々な出会いが、私たちに組子の無限の可能性を教えてくれたような気がします。

今回の経験を元に、タニハタの新しい組子づくりに生かしていきたいと思います。

<ミニ組子 麻の葉文様> プレゼントキャンペーン 好評につき延長いたします。

タニハタ大阪ショールームオープン3周年を記念して6月から開催していました「麻の葉組子プレゼントキャンペーン」、好評につき12月25日まで延長しております。



大阪ショールーム、東京ショールーム、富山本社にお立ち寄りいただいたお客様に(個人、法人問わず)タニハタのミニ組子(麻の葉)を無償でご提供させていただきます。プレゼントご希望の方は必ずショールーム見学後、お店のスタッフに「組子プレゼントキャンペーンに参加したい」とお声がけください。
(組子カタログもご希望の方は合わせてご請求ください。)
タニハタ組子の品質、材料選別のこだわりをご確認いただければと存じます。

タニハタ ミニ組子 麻の葉

数量限定につきプレゼントの条件は下記になります。

1 簡単なアンケートにお答えいただくこと。(所要時間1~2分ほど)
2 一世帯1個のみプレゼント

尚、2024年3月までに組子製品を購入される個人の方でカタログのご請求をいただいた方にも差し上げております。
(サンプルをご希望の方のみとなります。)

 

タニハタの組子製品の購入を検討されている方はぜひこの機会をご利用ください。(キャンペーンは2023年12月25日まで行っております。)

 

オープン4年目を迎えたタニハタ大阪ショールーム。お気軽にお立ち寄りください。
ショールーム住所はこちら

名古屋 日本木工機械展2023へ

名古屋の<ポートメッセなごや>で開催中の日本木工機械展2023に行ってきました。
前回はコロナ禍の開催で少し寂しい感じでしたが、今回は朝からかなり人が集まっており大変賑やかな印象でした。

前回は、NCルータなどの大型機械ばかりの印象でしたが、今回はクラフト・工芸作家向けの小型機械や手頃な価格のレーザーマシンやルータマシン、小型のロボットアームなどたくさんの小型機械が出品されており、うちのような組子屋としてもかなり見応えがある展示内容だったです。いくつか欲しい機械や工具も見つかりました。
次回はぜひ職人達を連れてきたいと思います。

最新の切削機械に関しては「木工業界も来るところまで来たなぁ」という印象。
今年になって大手の家具工場を見学したり、職人の方とお話しをする機会が多くなり、
「木工業界は、こんな風にどんどん大型化しハイテク化していくべき業界なんだろうか?」とも考えます。
林業向けの機械もどんどん進化していってほしいなぁ、と最近感じます。
(無人で木を切って運搬できるシステムとか)

どんなに加工機が進化しても、手業へのこだわりは大切に・・・タニハタも「工芸の工業化」を進めていきたいと思います。

組子の製作体験(10月)

10月4日、富山市立広田小学校5年生の皆さんが来社されました。
午前中2回に分けて来社され、全員で54名の参加となりました。

職人が実際に葉っぱ落としをしているところを見ていただきました。
皆さん本当に真剣に説明を聞いてくれていました。

体験内容は胡麻柄のミニ組子を一から組んでいただいています。
初めて組むと大人の方でも難しい文様ですが、先に組めた子が友達に教えてあげたりと
和気藹々とした雰囲気で体験されていました。

木材を削った際に出たかんなくずを配るとみなさん嬉しそうに持ち帰っておられました。
弊社では組子サンプルをお送りする際に緩衝材として同梱して使用しています。

地元の小学校ということもあり、工場まで元気に歩いて来社されました。
地元の方々と関わりを持てることは弊社としても大変幸せなことだと思います。
後日工場見学の感想のお手紙をいただきましたので、下記に添付いたします。
嬉しいお言葉ばかりで社員一同励まされるばかりです。

広田小学校様 感想お手紙

広田小学校ブログ

西川

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家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市へ

旭川出張レポート

下屋敷卓也



日本の木製家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市に社長と行ってきました。

旭川駅を降りると、駅の内装に北海道産のタモ材がふんだんに使われており、木材豊富な町であることが一目でわかりました。壁には工事に対して寄付した人たちの名前がレーザーで刻まれており、いろいろな人の思いが込められた駅舎なんだ・・と着いた早々感銘をうけました。(駅のスタッフに聞くと一万人の名前が刻まれているそうです。)

旭川駅 木製

すごい数の板(名前入)です。

社名板 旭川駅

以前、この壁を見られた富山商工会議所の方から同じような社名板を製作してほしい、と組子で製作させていただいたのを思い出しました。

「家具の産地に来たぞ!」と着いた早々気分が高揚しました。



◆北海道立北の森づくり専門学院

我々組子屋は国産木材がないと仕事が成り立ちません。

しかし、国内の林業は若い人がなかなか入ってこない、入っても続かない、という状況を聞くことが多くなり、「これからの日本の林業、木工はどうなるのだろう・・」と私自身考えることが増えました。

その答えを見つけるために今回、北海道立の林業の専門学校「北海道立北の森づくり専門学院」にお邪魔しました。

北海道立北の森づくり専門学院
北海道立北の森づくり専門学院 看板

ここの学校は2020年4月開校で、まだ新しい学校です。

ここの入学資格は道内の林業関連企業の就業を希望すること、高校卒の同等の学力がある40歳以下の人だそうです。

(卒業したら北海道以外の場所で就職はNGだそうです。)

授業の2/3は実習の時間で、森林調査、苗木づくり、植え付け、チェーンソーでの切削加工、林業機械、木材加工などあらゆる実習を行い、即戦力となるような学習内容になっています。卒業までに15の資格を取得可能とのこと。素晴らしい。

これだけ実習の多い林業の学校は全国的にも珍しいとのことでした。

また、スノーモービルやスキーなどで雪山をすべる訓練からドローン実習、重機のシミュレーター実習もあり、若い人が少しでも林業に関心を持つような学習内容、施設になっているのが大変素晴らしいと思いました。

北海道立北の森づくり専門学院 エントランス
北海道立北の森づくり専門学院 入り口

チェーンソーで製作された熊の置物。 入り口でお出迎えしてくれました。

林業 専門学校

チェーンソー実習する場所です。暑い日はこの大きな傘で日陰をつくるそうです。

林業専門学校
たくさんのチェーンソー


釣りやサッカーなど普通の学校と同じようなサークル活動も充実しており、「林業」という少し重いイメージを無くそうしようという姿勢が感じられました。また学生は、1人1台タブレットを配布され、これからのデジタルでの職場環境を意識した学習方法がとられていました。



学校の理念が「100年先の風景(もり)をつくろう。」



林業の人手不足の中、こういった設備の整った学校を作ることにより、道内の林業の人材を確保し、100年先へとつなげていく取り組みはとても大切だと感じました。

バイオマスボイラー

北海道らしく木材の端材を使って暖房します。

北海道立北の森づくり専門学院 授業内容

タブレットを使っての勉強

北海道立北の森づくり専門学院 重機のシミュレーター実習

重機のシュミレーター。ゲーム感覚で操作できます。

重機のシミュレーター実習 座学

◆旭川デザインセンター

旭川の家具、クラフトメーカー30社の製品が、ここ1箇所で見られるショールームになっており、製品の購入もできる施設になっています。

旭川家具の歴史は古く、明治時代中期の陸軍第七師団設置により、多くの建築・建具職人が移住してきたことをきっかけとしています。

旭川の家具は、北海道の豊富な森林資源と優れた技術力を背景に、国内はもとより世界に知られるブランドに成長しました。

国際家具デザインフェア旭川(IFDA)や旭川デザインウィークの開催など、旭川のものづくりとデザインを世界に発信する様々な取組を発信されています。

旭川デザインセンター

旭川デザインセンター 建物外観

旭川デザインセンター 展示室

また、この施設はユネスコのデザイン都市に認定されており、旭川の産業観光拠点として家具の歴史やものづくりについて学ぶことができるミュージアム、家具づくりなどのワークショップも併設されています。

施設の中は多くの家具が展示されており、大変見ごたえがありました。

特に山口智大さんの家具は技術の高さとデザインの良さ両方兼ね備えたもので、技能五輪全国大会でも2回金賞を取っていて素晴らしい職人だと思いました。

同じ木工職人として私ももっと高みをめざしたいと思いました。

旭川デザインセンター ワークショップ
廃材利用
廃材を使ってのワークショップ。いろいろ工夫されています。

◆講習会 旭川市工芸センター

工芸センターの中には家具、木材の実験用機械がたくさんあり、ホゾや接着剤の強度実験、含水率の計測、椅子の強度を調べる試験用の機械(座面と背もたれ同時に圧をかける試験)など見慣れない試験機械をたくさん見せていただきました。

私達が施設内を見学していると「技能五輪」に参加する若い職人達が、五人くらい集まっており、それぞれ勤めている会社が終業してからこの場所に来たとのことでした。

(技能五輪とは、23歳以下の青年技能者が技能レベル日本一を競う大会です)

この時点で18時を過ぎていましたが、ここから夜遅くまで木工技術について勉強するとのこと。

それらの若い職人を支える工芸センターのスタッフの方々の仕事ぶりや、若い職人達への熱いサポートを見せていただき、旭川が木工の町と言われている理由を心から理解しました。また、羨ましくも感じました。
そしてこの場所が日本の木工技術を磨く場になっていることにとても感動いたしました。

●講習会

6月に旭川市工芸センター様から「旭川の職人が集まる勉強会でタニハタの組子細工について話していただきたい」という依頼がありました。私たちは組子屋であり、「私たちの話しが役に立つのだろうか?」と少々戸惑いました。しかし、木工の聖地とも言えるその場所を訪れてみたいという思いから、予定を組ませていただきました。

タニハタ 旭川講演 組子細工

勉強会では、組子や富山の歴史、タニハタの組子の特長などについて約1時間30分間話しました。参加者は家具屋さんの職人など20~30代の若い方が多く、講演後の質問の内容などから高い仕事への意識を感じました。

タニハタ 旭川講演 組子細工 組子ワークショップ

組子のワークショップも行いました。私たちの話が皆さんのビジネスに少しでも役立てば幸いです。




<木工への熱意> 私自身も忘れないように・・ そんな決意を胸に旭川を後にしました。

私たちも、今回の出張をきっかけにさらなるステップアップを目指します。
関係者の皆様、この機会を与えていただきありがとうございました。
※講演に関するアンケート結果もいただきました。

下屋敷卓也

山形県ウッドデザイン賞作品 視察ツアーに参加

8月30日、31日の二日間に渡り、ウッドデザイン協会様主催の「山形県ウッドデザイン賞作品視察ツアー」にタニハタの職人2名が参加させていただきました。

一般社団法人日本ウッドデザイン協会は、木を活用した社会課題の解決をめざし、木の調査、研究、開発、事業創造、普及及び啓発する機関として2021年11月設立されました。
建築家の隈研吾氏が会長を務めており、株式会社タニハタも2021年から会員になっております。


●シェルター様本社

シェルター様本社
シェルター様本社 詳細

最初の見学先としてシェルター様本社様の方へ見学させていただきました。

まず出迎えてくれたのが、シェルター本社前にあります大型のパビリオン Global Bowl(グローバルボール)。

直径6.8mという圧巻のサイズ感でシェルター様の加工技術、接合技術の高さを象徴するかのような工芸品のようなパビリオン。これだけのサイズ感で、曲線的な美しさと耐久性を兼ね備えるのはとても大変だったと思います。

建物内で会長様のお話を聞かせていただきました。

木に対してかなり熱い情熱を持っておられ、「木造建築で世界に誇れる日本にしていこう!」ということを皆に呼びかけ、最後には握手までさせていただきました。

ほかにも話の中で出てきた接合金物工法「KES構法」や鉄やコンクリートと同等の耐火性能を持つ「COOL WOOD」、自在な曲げ、削り出しのデザイン「FREE WOOD」などシェルター様の高度な技術についていろいろなお話をいただきました。建設や建築のノウハウを知っている方のお話しを直接聞くことは職人として本当に刺激をうけます。

●シェルターインクルーシブプレイス・コパル

シェルターインクルーシブプレイス・コパル 山形
シェルターインクルーシブプレイス・コパル 室内

続いて見させていただいたのが、シェルター様が主となって建設した児童遊戯施設の「copal(コパル)」

ここは2023年日本建築学会賞を受賞しており、空間内は緩やかな曲線の連続で生み出された非常に気持ちのいい空間でした。子供心をうまくくすぐるような、子供たちが自らどんな遊びをしようかと考えてしまうような、そんな遊び心いっぱいの施設。

月平均1万5千人ほど遊びに来られるそうなのですが、子供同士の衝突の怪我や事故等は未だゼロ。なんでも野山での遊びを思わせるこの施設は子供たちの危険察知能力も向上させるとか…。

管理されている従業員の方々も毎日10名程いらっしゃるようで、よく見ておられるのだと思います。

子供は楽しく遊べ、大人はゆったり楽しめる。そんな素晴らしい空間でした。



●天童木工様

天童木工様
天童木工様工場見学

次に天童木工様へ伺いました。

成形合板技術を主力とする家具メーカー。中でも目に付くのは、曲線的な美しさを持つ椅子「バタフライスツール」(タニハタにも一脚置いています)。
作り方を一言で説明すると・・型で曲線の成形合板を作り、二枚を合わせて金具で固定させる、というシンプルなもの。しかし、この薄い板で大人の体重を支えるこの美しいデザインは「デザイン」と「木工技術」の極限の製品と思います。

実際に工場の中を見学させていただきましたが、成形合板を得意とする天童木工様はやはりプレス機の数が多いのが印象的でした。

受注に関してですが、ほぼ国内からの受注だけで賄っているとのこと。それもオーダーメイドが半数以上を占めるそうで、家具といえば規格品を大量に生産しているイメージがあったのでとても意外でした。

また、工場の外では暴露試験を行っており、屋外にむき出しの状態で配置されている椅子等の劣化具合や強度を定期的に確認されているとのこと。人の目に触れるところでそういった試験をすることで、購入するお客さんもより信頼して選べると思いました。とても良い取り組みだと感じました。

家具と組子、作っているものは違えど木工技術として参考になるところはたくさんありました。

●白鷹町まちづくり複合施設

白鷹町まちづくり複合施設

二日目の朝、最初に向かったのは白鷹町まちづくり複合施設。地域活性、地域林業復興、木材資源循環の起点となる施設だそう。

この建物は令和二年度木材利用優良施設コンクール 内閣総理大臣賞受賞という素晴らしい施設で、基本は町内産の杉から作られた構造材、造作材等から建てられ、建物内には木の良い香りがしました。また、町内産の木材を使用することで地域経済、木材産業の活性化につながります。

エントランス、待合スペースに図書館等、内装の全てが非常にスッキリとした、それでいて杉の統一感があり温かみもある施設。さらにこの施設は町民と意見交換を行い、町産の杉材を使用し、地元の製材所、乾燥センターでと町が一体となって作られていて私はただただ関心するばかりでした。

他にも端材として出た木チップをエネルギー源として役場内に暖房をボイラーから送る等、環境面にも配慮され、持続可能な地域産業の活性化、好循環に繋げています。町民に愛されているのはもちろん、他の自治体からも毎日のように見学に来られるそうです。



●おきたま木材乾燥センター

おきたま木材乾燥センター

次いでおきたま木材乾燥センター。置賜地域の林業発展や地元産の活用のために地元の製材会社や建設会社の出資によって設立された木材乾燥施設。JAS機械等級区分製材(ヤング係数や含水率を機械計測して区分されたもの)の認定を受けたJAS認定工場、その製材の様子を見学させていただきました。

入口に見えたのが私も仕事中によく使っているクロスカットソー。しかし建材や構造材を扱うだけあって非常に長いものでした。

その奥にあるのがマルチ自動四面カンナ盤というここでの製材のメインとなる機械。実際に動いているところを見学させていただくと、左右の円柱状の刃物、奥の両面自動の計四面のプレーナーを通り、さらに機械に通した出口には高周波で計測された材料の含水率やヤング係数等がモニターに表示されるという機械。

組子用の機械は小さなものが多いので、「こんな機械があるのか…」と感心しましたし、木工機械の技術もこれだけ進んでいるんだと、他の工場を見ることでしか気付けないことも感じさせていただきました。

この機械は建材を製材用途で作られたものだと思うので精度面はある程度大雑把なところがあると思いますが、将来的には四軸からなる0.01まで精度が出せる機械。こんなものが出てきたら組子を製作する側としてはとても魅力的だと思います。

おきたま木材乾燥センターを通して地域の企業間の連携や協力体制の重要性を再認識し、地域を支えるためには地元の企業や関係者が一丸となって取り組むことが大変重要であると感じました。



●シェルターなんようホール

シェルターなんようホール
シェルターなんようホール 内装

続いて見学させていただいたのはシェルターなんようホール。世界最大の木造コンサートホールとしてギネスに認定されているホールです。

前日に見学したシェルター様の接合金物工法である「KES構法」や「COOL WOOD」で非常に高い耐震性、耐火性を持つそうです。

エントランスに入ると木の香りがし、周りを見渡すと館内全体に木がふんだんに使われているのがわかります。

エントランスの中心を起点に八方向八本の大きな柱があり、それぞれの柱に山の名前が書いてあります。なんでも中心をこのホールに見立てて八方角それぞれにある柱は山形の名山という地図のような造り。これだけでも木に対するこだわりなどが伝わってきます。

大ホールの中に入らせていただきました。木のぬくもりが感じられる天井や壁、木が生み出す一体感や統一感、そして広大な空間のホールに圧倒されました。

また、この木造の空間の持つ性質が音の響きを柔らかくし、残響時間を短くする効果があるそうです。シェルターなんようホールの残響時間は1.64秒だそうで、このホールの大きさに対してかなり短いそうです。残響しすぎないことで音がよりクリアに、明瞭に届き、透明感のある聴きやすい音として伝わるそうです。

施設の中にある楽屋や練習室等すべての部屋で木材が使われ、使用量は12000㎥以上だそうです。太陽光発電やバイオマス等再生可能エネルギーの積極活用等SDGs推進にも力を入れているようでとても先進的な施設だなと感じます。

音楽をする人、木を愛する日本人にとってはとても理想的な環境で魅力が多く詰まった施設だと感じました。機会があれば是非、このホールでライブやコンサートを聞いてみたいなと思います。

●高畠町立図書館

高畠町立図書館

続いて見学させていただいたのは、町役場に隣接したところに建てられた高畠町立図書館。入口左には縁側があり、そこで本を読むことが出来、右側には扉が付いており開くと屋外ステージとして演奏等楽しめるそうです。(この日は縁側は熱中症対策として読書スペースは無く、屋外ステージは展示スペースとして使われていました)

中に入ると、こちらも木のぬくもりが感じられるスペース。構造は木造+鉄骨だと思いますが、レトロな落ち着いた空間になっていると感じました。また高畠町産の杉を多く使用した図書館ということで地域活性、地域交流をうまく両立させたとても良い施設だと思いました。

使用されている材料に関しては、節のある材料が大半ではあるものの、目の付きやすい場所にはなるべく良いものを使っているのが分かりました。町産材を無駄なく使うという観点から節が多い材料を使うのは仕方のないことだと思うし、今まで自分たちが組子に使ってきた木材が如何に貴重なものだったかを改めて理解しましたし、これまで以上に木材を大切に使っていきたいと思いました。

●高畠町屋内遊技場もっくる

高畠町屋内遊技場もっくる

同じく高畠町にある屋内遊技場もっくるは、廃校となった中学校の体育館を再利用し、子供たちの遊ぶ場所に作り替えた施設。木で作られた公園のような施設で、子供たちにもう一回来たい、もっと来る!と言ってもらえるような願いが名前の由来だそうです。

遊具やおもちゃはほとんどが木製のもの、年齢の低い子供たちが利用することを想定してだと思いますが丸みのあるものが多く、空間自体も優しい空間になっているように感じました。

さらに木を使ったおもちゃは懐かしさを保護者に与えてくれるようなものもあり、子供たちと一緒になって熱心に遊ぶ保護者の方も多いそうです。

また保護者同士の交流の場でもあり、子育ての相談も出来るよう子育て支援センター、ファミリーサポートセンターも併設されているそうです。町が子供の将来をよく考えているからこそ、こういった施設が造られるのだと思うし、そういった施設に積極的に木材が使われていけば木に携わる会社や地域が活性化されるので、こういった施設がもっと増えて欲しいなと思いました。

●感想

今回ウッドデザイン賞を受賞した会社様、施設を多く見ることが出来、とても多くの知識や経験を得ることが出来ました。建築に関するところが多く、様々な話を聞き、学びを得ましたが、私はまだまだ勉強不足でもっと多くの事に触れていかなければならないなと実感しました。

また参加者の皆様も非常に見識の高い方々で、木材や建築に関する知識の深さや情熱に触れ、感銘を受けました。皆さんから聞かせていただいた専門知識や経験を活かし、自分の専門分野についてもさらなる成長を目指したいと思いました。また、コミュニケーションにおいても、初対面の方々ともすぐに打ち解けられ、意見交換や情報交換がスムーズに行われていました。お互いに尊重し、ツアーを進める姿勢が素晴らしく、皆様のおかげでとても過ごしやすい二日間になったと思います。

ウッドデザイン協会の方々や各関係会社の皆様にも感謝の意を伝えたいと思います。ツアーの準備や案内、質問に対しても丁寧な回答をいただいたりと、お忙しい中での対応に心から感謝しています。

また、受賞作品に携わった方々の技術、情熱にも感動しました。素晴らしい作品を生み出すために、日々努力しておられることに敬意を表します。私たちも今まで以上に精進していきたいと思いました。

また機会があれば是非、参加させていただきたいと思います。貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。

                                                                                                    城 広明    和田 玄哉

日本政府のSNSにてタニハタ組子が紹介されました。

日本政府が海外に向けて発信しているSNSにタニハタの組子が投稿されました。(動画)

投稿は下記URLからご確認いただけます。

【Facebook】

https://www.facebook.com/JapanGov/videos/759330255947358



【X(旧Twitter)】

https://twitter.com/JapanGov/status/1693575109431398671?s=20

https://twitter.com/japan/status/1693575109636927982?s=20


海外向けの動画なので英文ではありますが、わかりやすい映像になっています。
日本を代表する工芸として「組子細工」を取り上げていただき本当にありがたい限りです。





組子の設置写真が届きました

組子の設置写真が届きました。

●A Houston Penthouse 様(ヒューストン)

ニューヨーク・マンハッタンにオフィスを持つデザイン会社「212box」 は、世界中に多様な建築/デザインプロジェクトを提供してきた会社です。
その創業者のエリック・クラフ氏が7年前タニハタに来社され、「今までにない新しいタイプの立体的な組子を製作してほしい」とお話しをいただき、それから「立体組子」の共同開発が始まりました。

アメリカのヒューストンにできたLuxuryなペントハウスに立体組子が設置され、その設置写真が届きました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2263/


●和風レストラン「輝」様(シンガポール)

シンガポールの和風レストラン「輝」様に美術組子 抽象タイプを納入させていただきました。
メインのダイニングホールに春の鮮やかなエッセンスをイメージした組子細工が飾られています。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2290/


●HAAAVE. 様(大阪)

大阪初の男女で利用可能な会員制高級個室サウナHAAAVE.(ハーヴェ)様。
籠目柄の組子を納入させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2268/


●N邸(長崎)

吉祥組子 麻の葉と<麻の葉ちらし 桜ぼんぼり>を3連で繋いだスクリーン衝立を製作させていただきました。
蝶番は金属製のものを使わずに、戦国時代の武将「真田幸村」が作り始めたと言われる「真田紐」を使った紐蝶番で組子パネルを連結しました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2272/


●鎌倉パスタ ヨドバシ仙台店 様

「鎌倉パスタ」様は、「和」を基調にした落ち着きのあるシックな空間で、こだわりのパスタを提供されています。
全国に200店舗近く展開され、タニハタでも過去33店舗のお店に組子を納入させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2299/





※海外への組子製品の納入が増えています。
ロンドンにある5つ星の高級ホテル「45パークレーン – ドーチェスター」に設置させていただいた組子がアメリカの経済誌「Forbes」に掲載されていました。

日本でも有名な「鮨 かねさか (Kanesaka) 」様が7月にオープンしたお店で、店内のインテリアは日本料理店建築の巨匠である板井良雄氏デザインによるもの。板井様とご縁があり、今回組子を納入させていただきました。

タニハタのデザイナーがホテルの紋章をイメージしてデザインを施しています。
https://www.forbes.com/sites/

組子動画「組子職人 木材の見極め」アップいたしました

最近、海外の方から「独学で組子を製作してみたのだけど見てもらえないか?」と写真を送られてくることが増えました。

写真を見ると「YouTubeを見るだけでよくここまでできるなぁ」と関心します。
その木工への情熱は素晴らしい。

ただし、よく見ると木材の選別がちょっと残念かなぁ と思います。

設置後に大きなねじれや反りが出るかも・・・と写真や動画を見て思います。

日本と海外の「木材に対しての考え方の違い」が表れるようです。


また、自分で使用される分には問題ないのでしょうが、桟の隙間や凹凸が気になります。

当社もずっと組子を製作していますが、全てのマス目を隙間なく組み上げるのは至難の業で、未だにこの隙間、凹凸、ヒゲとの戦いです。

ここにこだわらないと組子細工の本当の美しさがでてこない。

組子細工の良し悪しを判断される場合、目を凝らしてこの組子の納まりや隙間、材料の良し悪しを見てもらいたいと思います。

そんな気持ちから今回、組子の材料選別の動画を制作してみました。

——

海外の富裕旅行者の増やすために富山、石川県の自治体が海外向けプロモーション動画を共同制作。
タニハタも撮影に協力させていただきました。

美しい映像で見ると地元富山の良さを再確認できますね。



組子製作工場 夏の省エネ対策につきまして

猛暑日が続きます。
「環境に負荷をかけず、極力無駄なエネルギーを使用しないモノづくりを行うこと」・・
脱炭素経営を会社の方針としている当社は、今年の夏も工場内でいろいろな省エネ対策を行いながら組子製作を行っています。

■工場(木取り場)

南側に位置する木取り場は、作業空間に入る日光を極力遮断しています。


窓際に遮光スクリーン  風も建物内に入れる必要があるために通風タイプを設置

組子工場 省エネ対策


屋根裏に断熱材を吹き付けしたり、窓をペアガラスにしたり、外からの熱を遮断。
今年の夏はかなりその効果を実感しています。
エアコンを入れて室温30度を超えることはなくなりました。


■仕上げ室

午前の暑い時間帯だけ水を屋根に流し、屋根の焼け込みを防ぎます。(冬場の融雪ホースを利用)

組子細工製作工場 省エネ対策 工場屋根

また、窓の前に木材を並べて、直射日光を屋外側で遮ります。  (風は通します。)

組子細工製作工場 省エネ対策 窓を木を遮熱


組子細工製作工場 省エネ対策 断熱シート
天井にも断熱シート。


■組み付け場
ここは、エアコンや大型サーキュレーター、LED照明など一番電力を使用する場所になりますが、自社消費型のソーラーパネルを工場屋根に設置して直接電力を屋根から融通しています。

組子細工製作工場 省エネ対策 サーキュレーター
組子細工製作工場 省エネ対策 太陽光パネル


省エネ・・・ではありませんが、作業中にうっかり水筒をテーブルから落とすことがあるので、職人達が<水筒ストック箱>を製作して各テーブル足元に設置しました。(作業用テーブルも職人達の手作りです。ヒノキ材で製作。)

組子細工製作工場 手作り作業台

■オフィス

お昼を過ぎると直射日光が差し込む事務所前に遮光シェードを設置。(12時になると女性スタッフが手動で遮光シェードを下げます。)

事務所前のガラスも単体ガラスからペアガラスを付け足し、「3枚ガラス」にしたことでエアコンの効きが格段に良くなりました。

組子細工製作工場 省エネ対策 オフィスの遮熱対策

その他・・・

会社の自動車二台を電気自動車に変えました。 工場屋根のソーラーパネルで発電する電力を使用するようにしています。

日産自動車アリア サクラ 二台導入
EVフォークリフト導入
フォークリフトもEVタイプです。

とやま水の郷でんき タニハタ 契約書

屋根の太陽光だけでは工場全ての電力を賄えませんので、足りない分は北陸電力さんの「とやま水の郷でんき」を契約して電力を使用しています。これは富山県の水力発電所から産み出される電力で、CO2の排出が0となる契約となります。

命に関わる程の猛暑・・・ニュースから流れるそんな言葉に違和感がなくなってきていることが怖くもありますが、当社なりに行動をおこして発信していきたいと思います。

タニハタ 地球温暖化対策について


組子の製作体験(2団体)

今月はアメリカと富山市の高校から2団体見学にお越しいただきました。

6月13日はアメリカのワシントンD.C.から6名ご家族で工場見学にお越しいただきました。
1日富山県の工房見学の予定でモメンタムファクトリー・Orii 様、井波に彫刻も見に行かれるそうです。

材木置き場では木材の種類や組子に使用する木材の見極め方についてご説明させていただきました。含水率は何%の木材を使っているかご質問が
あったりと、とても熱心にお話を聞いていただきました。

組子 工場見学 製作体験

組子体験では胡麻の葉っぱがなかなか嵌らず何度も挑戦されていました。最後残り5分をお伝えすると、皆さん一気にコツを掴み全員が完成した
組子をお持ち帰りいただくことができました。

組子 工場見学

最後はアメリカのお土産までいただき、工場見学にとても満足いただいたご様子でした。
製作体験中は私も拙い英語でなんとか組み方をお教えできたらと思い、お話させていただきましたが笑顔で真剣に聞いてくださったご家族の
皆様に感謝いたします。

通訳の方なしではなかなか海外のお客様の工場見学は難しいですが、海外のお客様にも組子の良さを知っていただけるようもっと勉強したいと
思います。

西川

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6月19日は地元富山の星槎国際高等学校富山学習センターの生徒さん5名と先生3名にご来社いただきました。

組子 工場見学 書院障子

内閣総理大臣賞を受賞したタニハタの書院障子をご覧いただいた際は、生徒さんも先生方も組子の繊細さや技術力に驚いておられました。
皆さん組子に顔を近づけて、じっくりと組子を見ておられました。
生徒さんも組子の桟の感覚の測り方や、製作方法についてなどの疑問点を積極的に質問してくださいました。

組子 工場見学 葉っぱ落とし

職人のハッパ落としの作業から始まり、麻の葉のミニ組子が完成した瞬間、「お~」「すごい…」と声をあげながら感心されておられました。

組子 工場見学 製作体験

ミニ組子の製作体験になると、どの学校の学生さんも集中力が高く、熱心に取り組んでおられ、大変嬉しく思います。

今回は地元富山の学生さん方にお越しいただき、富山から全国へ組子を発信しているタニハタについて、組子について、環境問題の取り組みについてより知っていただけたかと思います。
実際に星槎国際高等学校富山学習センター 様の卒業生が現在タニハタの職人として働いておりまして、先生方と楽しそうにお話しされておりました。
今後も地元富山の学生さんだけでなく、全国各地の学生様に組子の技術や、文様に込められた願い、和の大切さ、そして環境に負荷をかけないものづくりの重要性が少しでも伝わればいいなと思っております。

志賀

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海外でのイベント、プロジェクトのご案内

コロナも一段落し、海外のイベントやプロジェクトが活発になってきました。
タニハタも展示用の組子など協力させていただきました。

■オーストラリア シドニー
Simply Native 様

職人による作品づくりの過程を伝える企画展「Artistry at its Finest(至高の職人展)」
シドニー・紀伊國屋書店ギャラリーにて開催

|開催期間:2023年6月2日〜6月29日
|会場:シドニー・紀伊國屋書店 Wedge Gallery

組子職人 企画展「至高の職人展)

■アメリカ ニューヨーク
CRAFITS DESIGN STUDIO 様

ICFFは、現代的な家具デザインのためのアメリカを代表する展示会です。
(タニハタも2012年に出展しております。)
CRAFITS DESIGN STUDIO 様は2年続けての出展となりました。

|開催期間:2023年5月21日〜5月23日
|会場:Jacob K. Javits Convention Center.

CRAFITS DESIGN STUDIO kumiko

■「匠の技が生むジャパン・ラグジュアリー」

三越伊勢丹プロパティ・デザイン

カタログやWEBページ制作に協力させていただきました。

組子の製作体験 (2団体)

今月は大阪府の2つの中学校から工場見学にお越しいただきました。

5月19日は大阪府の大桐中学校の7名の生徒さんが来社されました。
この日は富山県内の事業所8か所の中から自分たちの興味のある場所を選び訪問する選択学習の日で、弊社の他には富山県立イタイイタイ病資料館や富山ガラス館、地引網体験などを選ばれたとのことでした。

木材の色味の違いについてご説明させていただきました。着色ではなく本来の木の色味を利用してデザインしていますとお話しすると
顔を近づけ木材の違いをじっくりと見ておられました。

実際に地組組みを体験していただきました。
筋が良く職人もびっくり。
なんとこの生徒さんは、実家が大工さんだそうで、この後の組子体験も一番にミニ組子を完成しておられました。

組子体験ではアドバイスなしで自分の力で完成させたいと意気込み一生懸命挑戦されていました。
見事完成し、とても喜んでおられる姿にこちらも大変うれしい気持ちになりました。

今回の中学校は<SDGsの学習旅行>として富山にお越しいただきました。
事前にタニハタのホームページを調べてきてくれた生徒さんもおられ、アンケートでは実際に見ることができて良かったと言っていただきました。
短い時間での工場見学・組子製作体験のプログラムではありますが、生徒さんの今後の学習に少しでもお役に立てればと思います。

西川

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5月24日は枚方市立長尾西中学校の生徒さん17名にご来社いただきました。
前回同様、今回もSDGsの勉強をするためにタニハタの工場見学を選んでお越しいただきました。

会社説明をしている際や動画をご覧いただいている際は、生徒さんたちが持ってこられたファイルにメモを取りながら、熱心に話を聞いてくださりました。
質問にも積極的に答えてくださる、とても元気で明るい生徒さん方でした。

ミニ組子の製作体験では皆さん手際よくあっという間に三つ組手を組み上げておられました。
パーツが折れるのを悔しがり何度もトライしている生徒さんや、教え合って一緒に組み上げている生徒さんなど皆さんとても楽しんでいる様子を拝見して大変嬉しく思いました。


今回はSDGsの勉強をメインとしてお越しいただきましたが、タニハタの環境問題への取り組みや働き方だけでなく、組子製作体験を通して、日本の伝統工芸である組子の良さも知っていただけたと思います。こちらもとてもやりがいを感じました。タニハタの工場見学を通して、生徒さんが少しでも環境問題について興味や疑問を持ち、未来につなげてくださることを願っています。

志賀

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ポケモン×工芸展を見学

昨年秋の名古屋研修から約半年・・

タニハタでは定期的に「モノづくり」「木材」に関する出張勉強会を開催しており、今回は「作家と作品」をテーマにして研修プランを組み見学してきました。

今回見学した場所

1 国立工芸館 (金沢) 「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見」展

2 石川県立伝統産業工芸館(金沢)

3 見城亭(食事 兼六園内)

4 木工房 バイハンド(木工作家 小松 研治先生工房)(富山)

5 富山県立美術館 棟方志功展

GW期間中ということもあり、全員参加とはなりませんでしたが、それでも19名の大人数での見学となりました。



最初の見学は、金沢にある「国立工芸館」で開催されている今話題の工芸企画展「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見」。

国立工芸館 (金沢) 「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見」展 見学

9時20分に到着。ここの建物は、日本海側初の国立美術館として、2020年10月に金沢市にて開館しました。モノづくりを生業とするものとして、京都や東京などではなく、富山から一時間余りで来ることができる金沢にこんな立派な展示施設が移転してきて本当にありがたく思います。

ここは、明治期に建てられた旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社の2つの古い建物を移築して再利用されている歴史ある建造物。名誉館長職には元サッカー選手の中田英寿氏が就任されています。

入り口で目をひいたのはイーブイとその進化形三匹。

ポケモンという2次元のベタ塗りの想像的生き物が、作家の感性を駆使して、3次元の我々の住む世界に生の質感をまといイキイキと飛び出してくる・・・。
アニメと工芸・・・ひとつ間違えばこの相反している制作物の企画・・・結構な波風が立ったろうなぁとこの企画を立てられた方のご苦労を感じました。
出展されている作品もかなり温度差があり、戸惑いながら製作されているものと、すごい熱量でもって製作されている作品、とかなり差があるようにも感じました。

今回の企画展で最も私が感動したのはこの作品。

池田晃将氏の「未知文黒御影茶器」
h9.1 6.2×5.1cm
<漆、鮑貝、夜光貝、白蝶貝、螺鈿>



組子細工もそのパーツや仕事の細かさに驚かれることが多いですが、この作品の細かさと美しさは別格。

近未来をイメージさせる螺鈿と漆の美しさ。。

ポケモン文字はちゃんと意味があるように並べられており、遠目にみるとポケモンの姿も浮き出てくるというもの。

この後、製作風景の動画をみたのですが、この文字を切り抜くのはなんとレーザーマシン。

パチパチと切り抜いた文字を一個一個手で貼り付けて、漆は重ねる作業。。それの繰り返し。

「伝統」と「革新」とはまさにこういうモノづくりのこと。素晴らしい。



次に石川県立伝統産業工芸館

ここの展示物には「値札」が貼ってあり、「作品」というより「商品」寄りものが多く展示されていました。値札が付いていると「自分の生活の中で使うならば・・・」という視点で見ることができるので、ポケモン展とは又違った目線で工芸品を身近に楽しむことができました。

「兼六園」は200年前、松平定信が宋時代の書物「洛陽(らくよう)名園記」に記載されている「相反する六つの景観(六勝)を兼ね備えている園」という文から名付けたそうです。

食事場所は、建築家 隈研吾氏設計による兼六園の新しい顔「見城亭」。

北陸民家を大雪から支えてきた「サシモノ造り」で建物を補強しているそうです。

内装の色調も黒く統一し、落ち着いた雰囲気の中で食事することができました。

料理も上品で大変美味しくいただきました。

壁に隈研吾氏のサイン。

「木格子」の建築物は、我々組子屋としても大変勉強になりました。


お昼過ぎて小松研治氏の工房へ

道具、工具、治具、部品、機械、部屋の調度品、猫のお墓、ご仏壇、小さなネジ1本まで・・・すべてと言っていいほど小松先生のカラーで製作、収集され、それらは驚くほど美しく機能的に配置されており、先生からお話しを聞いてその配置の謎が解ける・・・というミステリーツアーのような工房探検でした。

答えを聞くたびに「すごい!」という声。  

木工を生業とするものとしてワクワクが止まらない素晴らしい時間。

小さな空間なのに大きなテーマパークのアトラクションの中を歩き回っているような、そんな錯覚にまで陥りました。

たくさんの学びをいただきました。

最後に 富山県立美術館で開催されている「棟方志功展 」を見学。

棟方志功は、1945年から6年8カ月間、富山県南砺市(旧福光町)に疎開。
民藝の巨匠たちや富山県の人々との交流が、棟方志功の作品に大きな影響を与えていったそうです。
すごいエネルギーを感じる作品が多く、最後まで圧倒されました。

今回、いろいろな場所を見学させていただきましたが見学の後も余韻が残る見学会になりました。
私以外の若い職人達もいろいろな影響を受けたようで今回急遽企画して良かったと思いました。
また、写真撮影可能の美術展が増えたことも本当にありがたいことです。
また、秋にでも見学会を行いたいと思います。




組子の設置写真が届きました

組子設置写真(5件)が届きました。タニハタのphotogalleryページにアップいたしました。

Sakagura 様(ニューヨーク)

すし晴 様(シンガポール)

浅野工学専門学校(横浜)様


名古屋マリオットアソシアホテル 様

CLUB FOUR SEASONS (福岡)様

CLUB FOUR SEASONS (福岡)様 組子細工 タニハタ

コロナ禍も一息ついて海外施設、外資系企業への納入がかなり増えてきました。
アメリカやオーストラリア、欧州や台湾、香港、シンガポール・・・地域を問わずに引き合いが多くなってきています。

また、商業施設に設置した組子をご覧になったお客様から「自分が住んでいる住宅に設置したい」というケースも増えてきており、住宅でのご使用が増えてきていると実感します。
下写真はアメリカのお客様(個人)からいただいたお写真ですが、麻の葉や千本格子などのシンプルなデザインを住宅の中にうまく溶け込ませて、和風になりすぎないように工夫して使用されています。

引き続き、日本のみならず海外に向けても情報発信していきたいと思っております。



富山空港・国際線に美術組子を設置

観光や買い物を目的として海外からプライベートジェット機で来日される富裕層向けの施設が富山空港に完成しました。
そこの プライベートジェット機 専用ロビーにタニハタの美術組子「立山連峰」を設置させていただきました。

成田空港にあるスイスポートのラウンジにも組子(麻の葉ちらし)を設置させていただきました。

コロナ禍も一段落し、空港や駅などインバウンド向け施設への組子納入が増えてきておりますが、日本の経済が少しでも回復することを願い、組子の製作、設置を進めてまいりたいと思います。

スウェーデン王立リンショーピング大学の学生が来社されました

スウェーデンにある王立リンショーピング大学 マルムステン家具デザイン学部の学生と先生、木工作家の小松研治先生が工場見学に来社されました。

スウェーデンにあるリンショーピング大学は、1969年に創立された大学で23の教育部門および4学部を有しているヨーロッパでは有名な大学です。

「マルムステン家具デザイン学部」を創立したカール・マルムステン氏は「スウェーデン家具の父」と呼ばれる方で、家具デザイナーであり、建築家、そして教育者でもありました。
北欧家具の特徴は、自然の素材を生かし素朴でありながら美しさと機能性を備えたデザインでもありますが、日本の組子にもどこか通じるところがあり私も以前から興味を持っていました。

一方、木工作家の小松研治先生は、東京芸術大学大学院美術研究科終了後、大学などで講師、教授として教鞭をとられ、2017年から富山大学名誉教授に就任されています。
現在は富山市婦中町にて作家活動をされています。

そんな木工のスペシャリスト達が来社される、ということで当社の職人達も3ヶ月ほど前からいろいろな準備をしておりました。

最初は、タニハタの会社ビデオ(英語版)を見ていただき、日本の組子についての説明をさせていただきました。

古い組子やタニハタが制作した新しい文様、組子製作の道具、日本の木材などを説明。

内閣総理大臣賞を受賞した40年前の書院障子を見ていただきました。当時の製作はまだほとんどが手作業で行っていたのですが、かなり興味を持たれましたので丁寧に説明させていただきました。

組子製作体験をしていただきました。すごい集中力で組子を製作。

籠目柄を製作するための4つの技法を実演。

スウェーデンの木工の歴史をタブレットで説明していただきました。うちの職人達も興味津々の様子。

タニハタから欧州の木工についてたくさん質問させていただきました。私達にもわかりやすいように丁寧に手描きで説明していただきました。
機械によじ登って話しを聞いている職人もいます(笑)

職人達からの質問内容・・・

スウェーデンで主に使用されている木材は何ですか? 
それはどこの国の木材ですか? 
購入される際、木材のどこを重要視しますか? 
日本の木材に興味はありますか?  
スウェーデンの林業のひと手は足りていますか?  
ものづくりするものとして大切にされていることは?(こだわりなど) 
継ぎ手や仕口にはどんなものがありますか?  
いままで製作されたもので大変苦労されたものは?  
職人としての悩みはありますか?   
木工職人をめざす人は増えているのか?  
主にどんな木工機械 道具を使用されていますか? 
それはどこの国のメーカーのものですか? 
スウェーデンの伝統的な技法があったら教えていただけますか? 
木工の歴史を教えていただけますか?  
スウェーデンで組子技術に似たようなものはありますか? 
スウェーデンで組子はどれくらい知られているのでしょうか?
タニハタに来られた理由は?  
組子のどこに魅力を感じますか?
スウェーデン(皆様は)では環境に負荷をかけないものづくりをされていますか?

時間と共に熱のこもった話しになり、身を乗り出して聞いています。

朝9時から12時まで約三時間仕事をとめて木工に関する情報交換を行いました。本当に実のある話しでした。
今度はタニハタの職人がスウェーデンで研修させていただく・・・という流れになり、最後は笑顔で拍手。

言葉は通じなくても、職人同士は心が通じるものですね。
地球の裏側からご来社いただき本当に感謝です。



お土産に・・・スウェーデンの手作りジャムと手作りの木箱をいただきました。良い仕事をされています。

スウェーデンの家具の書籍

小松研治 書籍 工場見学

小松先生からは書籍2冊をいただきました。すべてサイン入りです。
GWに職人達で工房見学させていただく予定です。
ご縁に感謝です。

NHK新富山放送会館に組子を設置

2016年3月から2022年8月までの6年間半、NHK富山スタジオに設置していた組子を新たに文様を追加して作り直しました。

NHK 組子細工 設置 新富山放送会館
NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 エレベーター

新しいNHK会館のエレベータまわりに再設置させていただきました。

商業施設やパブリックスペースの場合、住宅用に比べて使用期間が短いことが多く、職人が心を込めて製作しても処分されることも少なくありません。今回のように設置から時間が経過しても組子を大切にしていただく現場を見ると本当に嬉しく思います。

NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 エレベーター 富山人
NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 見学

製作に関わった職人達も見学させていただきました。大変嬉しそうでした。本当に感謝です。

下写真は設置当時(5年前)の写真となります。

NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 富山人

昨今、テレビやネット動画で組子細工を目にする機会が増えました。
文様の美しさも重要な要素ですが、組子細工は桟の細かい<納まり>がとても重要になります。
画像に写らないから手を抜く・・・そんなことがないように注意してまいりたいと思います。   谷端

富山県の木材情報誌「杣(そま)」に掲載されました

富山県が、木材需要拡大のための情報誌として発刊している機関誌「杣(そま)」にタニハタ組子の特集ページを組んでいただきました。
昨年、富山県庁の敷地内に完成した<県防災危機管理センター>正面に設置した組子のことを取り上げていただいております。

・タイトルの「杣(そま)」について・・・
7世紀後期以後の日本では、国家や貴族・寺社などが、建築(邸宅・寺院)用木材の伐採地として設置した山林のことを「杣」と呼び、近世・近代になってからは、「林業従事者」や人が木を利用するために手入れしている「森林」の意味でも用いられるようになったようです。

タイトルから見てとれるように「木」や「林業」「木材建築」にこだわった情報誌で大変読み応えのある内容となっております。

内容は下記からご覧いただけます。

https://www.pref.toyama.jp/1603/

内容 PDF
https://www.pref.toyama.jp/documents/18606/soma14.pdf

杣 富山県 機関誌 組子

2023年度 入社式を開催しました

雪国富山も桜が満開を迎え、暖かい1日となった4月3日(月)、タニハタ本社において2023年度入社式を開催しました。
今年度は地元の工業高校を卒業した組子職人希望の若衆一名(18才)が入社してくれました。

コロナウィルスが世界に広がってから3年間が経過し、私達社会人も大変な状況になりましたが、高校3年間をマスクで過ごした彼も大変な思いで学生生活を過ごしたことと思います。毎日の職人研修で覚えることがたくさんで大変かと思いますが、まずは職人の基本を身につけてもらえるよう職人達全員でフォローしていきたいと思います。

当社もおかげ様で毎年安定して新卒の採用を続けており、古い伝統工芸から新しいモノづくりの会社へと変化してきております。
新しい仲間を迎えたタニハタのさらなる成長にご期待いただければと思います。

タニハタ 組子職人 入社式 2023
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