タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

経済番組に出演します。

経営戦略が専門の兵庫県立大学の内田康郎教授とチューリップテレビの西美香アナウンサーが富山県内の企業を紹介するTV番組「直撃!とやま流ビジネス戦略」に出演します。

直撃!とやま流ビジネス戦略出演 組子製作風景 タニハタ今年1月初旬から何度か取材をうけて、先週すべての取材が終了しました。
(写真は工場2階にある組子ギャラリー。 テレビスタジオのようになっています。)

取材開始時(1月中旬)は新型コロナウィルスのことは話題になっていませんでしたが、あれから約二ヶ月。コロナウィルスの影響で日本、世界の経済状況は一変してしまいました。
こんな状況下に経済のことを語るのはおこがましいのですが、零細企業経営者の視点で私なりにお話しさせていただきました。
放送日は、3月28日(土)午後3時30分~午後4時の予定です。

(富山 チューリップテレビ)

組子製作工房を増築中

手の込んだ精巧な組子を製作することが年々増えてきており、仕上げに時間がかかるようになってきました。
生産のキャパを増やすために工場裏を一部増築することになり、現在建築を進めています。
タニハタ組子工場増築

建築構造も鉄板の冷たいプレハブ構造ではなく、住宅に使うようなプレカット集成材を使用して建築してもらっています。「工場」というより「工房」的な感じになりそう。建築現場をみているうちに、なんだかここに畳を敷いて住みたくなってきました(笑)

少しでもお客様のご要望にお応えできるようタニハタの工場も少しずつ進化していきたいと思います。

大阪・組子ギャラリー オープンのお知らせ

2020年3月5日(木)、大阪・南港にタニハタ組子ギャラリーを開設いたしました。
ギャラリーでは、タニハタ組子文様18種(規格マス目、大柄タイプ)全種を展示。
また、龍をイメージした大判組子や京都の古い町屋をイメージした美術組子など見ることができます。

大阪 南港 組子ショールーム タニハタ大阪 南港 組子ショールーム サンプル大阪 南港 組子ショールーム 内装

大阪 南港 組子ショールーム テーブル

大阪 組子ショールーム 間仕切り欄間

大阪 組子ショールーム キャビネット
実験的な組子製品も出展しております。

組子ショールーム 具象 美術組子

※大阪ギャラリー開設に伴い、神戸の組子ギャラリーは撤退しております。ご注意ください。

オーストラリアから組子製作体験

オーストラリアから8名の方が来社されました。
普段は日本の「華道」について勉強されているそうです。
組子のことや日本のモノづくりについていろいろお話しさせていただきました。
海外の方の質問は日本の方とはまた違った目線でいただくことが多く、こちらも大変勉強になります。

組子細工 製作体験 工場 富山 

組子細工 製作体験 海外 工場またのご来社を心よりお待ち申し上げます。

職人 高島 テレビ出演のお知らせ

本日、2月18日(火) 22時54分から日本テレビで放送される番組「元気のアプリ」に、タニハタのベテラン職人「高島敬」が出演します。(通常は21時54分からですが、特番があり少し遅れての放送になります)

この番組は各業界で「頑張っている人」「苦労を乗り越えてきた人」を紹介する番組です。
5分ほどの時間ではありますが、72歳で組子製作の最前線で頑張っている熟練職人の姿を見ていただければ幸いです。

組子職人 タニハタ 高島

番組のWEBサイトにも紹介されました。

日本ジュエリーデザイナー協会様の機関誌に組子が掲載

日本ジュエリーデザイナー協会様(JJDA)は、ジュエリーデザインの発展を通して日本の生活文化の向上と産業の発展に寄与することを目的として活動を続けている団体です。(1964年設立の歴史ある団体組織です)

この日本ジュエリーデザイナー協会様の機関誌(毎年1回発行)に組子の特集が組まれ、タニハタの組子を4ページにわたり紹介いただきました。

日本ジュエリーデザイナー協会 掲載 タニハタ組子

昨年はルイ・ヴィトンのジュエリー・コレクションを紹介するビデオにもタニハタ組子を使用していただき、改めて組子デザインと宝飾デザインの相性の良さを感じた次第です。

建築業界以外の業種にも組子が浸透してきており、嬉しい限りです。

新年明けましておめでとうございます。

タニハタ 謹賀新年 組子

2019年を振り返る タニハタの1年間

本日12月27日で本年の営業は終了致しました。
仕事納め、ということで午後は工場の大掃除を行いました。
本年もたくさんのご愛顧を賜りまして誠にありがとうございました。

今年は1年間で626件のご注文をいただきました。
ホテルなどの大型物件も増えて一件あたりの受注額も年々大きくなってきています。

また、海外、外資系オフィス、ブランド店舗への納入も増えてきており、「本当に組子欄間の用途が広がってきたなぁ・・」と1年を振り返ってしみじみ感じます。

(10年前では考えられないくらいに商業施設、海外への納入が増えました。)

一方で半分手仕事の組子細工の限界も見えてきました。
10月には大口物件が重なってしまい大幅な納期遅れも発生し、数社のお客様に大変ご迷惑をおかけしました。信用を積み上げるには多大な時間がかかりますが、それを崩してしまうのは一瞬・・ 来年はこういうことがないように全力で努めていきます。

道具、設備、技術、IT、デザイン、そして人・・・
ラグビーのようにワンチームで仕上げていくタニハタの組子づくりを進化させていくにはうちが培ってきた資産、スキルをどんどん磨き上げていく必要があります。

来年も職人達でいろいろなことに挑戦していきたいと思います。
2020年は1/6(月)より営業を開始いたします。
来る年も変わらぬ御愛顧のほど、宜しくお願い申し上げます。

(来月2019年組子欄間設置写真をアップする予定です。)

タニハタ 工場 仕事納め

タニハタ 工場仕事納め テーブル製作

打ち合わせ用のウォールナット無垢テーブルも再塗装しました。

タニハタ 工場 門松
少し早いですが、門松の設置も終わらせました。来年は新タイプの組子も発売する予定です。発表まで、どうぞ楽しみにお待ちください。

※2019年一番記憶に残ったニュース・・・2年前に納入いたしましたシンガポールアオキさんの組子を職人達で見にいきました。 苦労して製作した組子を職人達と共に見て回る・・・。そこで勉強したことをまた自分達のモノづくりに生かす。 世界中に組子欄間を納入して、日本のモノづくりの素晴らしさを知っていただきたいと思います。
タニハタ 社員旅行 職人研修
シンガポールアオキ 組子

木材の買い付けに行ってきました。

つい2ヶ月ほど前まで半袖シャツで動き回っていましたが、長袖の服をたくさん着こまないと外に出られないほど寒くなってきました。北陸の秋は短く、すぐに白いものが空から降ってきそうな空模様です。
組子細工製作 工場 富山 (今年は事務所前のオリーブの木にたくさん実がなりました。)

雪で身動きができなくなる前に、今年最後のヒノキの買い付けに行ってきました。

杉の有名な産地といえば「奈良県吉野地区」ですが、ヒノキ材といえば「長野県木曽」「岐阜県東濃」地区になります。長野から岐阜にかけてヒノキの良材がとれることで有名で、伊勢神宮や名古屋城などの建築材として今でも使用されています。

「市」が行われる場所は、タニハタの富山工場から車で3~4時間ほどかかりますが、当社にとっても大切な仕事なので、2~3ヶ月に一度直接買い付けに行ってきます。

朝9時過ぎに到着。  すでにたくさんの業者が材料をみてまわっていました。ヒノキ材も山ほど積まれています。
組子木材仕入 タニハタ
が・・・・
タニハタで使用するような組子用の材料は一割もありません。

組子木材仕入 檜材こういう節の多いヒノキがほとんどです。
うちの組子材料としては使用できません。主に建築の構造材として使用されています。

組子木材 仕入 銘木私の今回の目的はこの材料です。「特選」の札が貼ってあります。量はわずか・・・。
節は無く、真っ直ぐな目の細かい柾目材で色味も薄いピンク色のヒノキ・・・。組子のように細く挽き割っても反りやねじれが少なく、加工性も高い材料が主になります。 木材の前に立っているだけで幸せな気持ちになります。

すべて入札(競り)形式になりますが、自分が選んだ材料は、今回ほとんど落札することができました。 この材料は来年春にかけて使用いたします。
神代杉 組子今回、建具用(柾目)神代杉も出品されていました。(写真左側)この神代杉は2500年前のもので、こういう建具材料は通常の「木材市」でほとんど出会うことはありません。スタッフの方も「こんな材料はもう手に入らないだろう・・」と寂しそうな表情をして話しておられました。日本で一番高価な木材、と言っても過言ではなく、こういう木材は迷うことなく、入札。
建具用はすべて落札することができました。(ちなみに神代杉はこんな現場で使用されています。)

他にもトチの木や杉材など組子の葉っぱに使用できそうな木材を十数立米ほど買い付けしてきました。
今年の仕入れはこれで終了ですが、少しでもお客様にタニハタの組子製品をみて感動してもらえるように、来年も良材を全国探し続けたいと思います。

SDGs TOYAMAプレスツアーのお知らせ

日本新聞協会と経団連(日本経済団体連合会)の共同出資により、1976年に設立された財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は、世界の人々に深く日本を理解してもらうため、海外のマスコミへの取材協力、記者招聘事業などを実施している団体です。

この度、フォーリン・プレスセンターが環境問題に取り組む企業などを取材されるとのことで連絡をいただきました。
米国、中国、マカオ、シンガポールの計6名の記者が参加予定。

外務省発行の記者登録証保持者の方は下記から参加申しこみ可能です。

https://fpcj.jp/en/assistance-en/tours_notice-en/p=75740/

SDGs これからの企業経営のキーワードですね。谷端
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SDGs Future City Toyama Press Tour

A Way for Cities to Thrive 20 and 30 Years in the Future

◆This tour will cover initiatives based on the Toyama City SDGs Future City Plan:

Creating a Sustainable Added-Value Creative City Through a Compact City Strategy.

The tour will see high school students working on the SDGs,

efforts to create a cyclical city through promoting food waste recycling and other measures,

initiatives to support raising children,

cooperation with local businesses to use renewable energy and electric vehicles,

and other unique and diverse businesses in Toyama City.

Qualification: Bearer of Gaimusho Press Registration Card

https://fpcj.jp/en/assistance-en/tours_notice-en/p=75740/

日本ラグビーチームと吉祥文様の関係

ラグビー世界大会 盛り上がっています。
9月27日、日本が優勝候補のアイルランドに勝利した試合をテレビで見ていましたが、ずっと歯を噛みしめてを観ていたので、試合が終わった時は歯が痛くなりました。。

(ラグビーは観戦する方も疲れます。 選手達は満身創痍だと思いますが。)

ところで最後の選手インタビューをみていてあることに気がつきました。

日本代表のユニフォームですが、よくみると服全体に日本の吉祥文様が、あしらわれていました。

(下 写真)
ラグビー ユニフォーム 吉祥文様

7月の新ユニフォームの発表会で選手達が嬉しそうに「格好いいユニフォームができた!」と話していた意味がこの時にやっとわかった次第です。

(ただの紅白のデザインかと思っていました。開発した会社は、富山に本店がある「株式会社ゴールドウイン」さん。)

紗綾形文様青海波文様矢羽根文様・・・そして胸の一番真ん中には、「麻の葉」文様が入っており「力・ならわし・縁起」を意味する吉祥文様を集めたとのこと。

当社の「枡合わせデザイン」のようにいろいろな文様を組み合わせたデザインに仕上がっています。古典文様製作を生業としている会社としてとても嬉しくなりました。

特に創業以来、タニハタのロゴマークにも使用されてきた「麻の葉文様」は、とても縁起の良い文様です。この文様パワーをまとって、ぜひ勝ち進んでもらいたいです。

応援しております。
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話しは変わりますが、現在、アップルのiPhoneををデザインした世界的なデザイナー
ジョナサンアイブ氏の別荘(Ive Residence – Apple Villa )に設置する「麻の葉」組子を現在製作しています。
組子細工製作 工場 富山 

5年前にも納入したのですが、再度追加で10枚リクエストいただきました。
日本の杉材がお気に入りのようです。

日本の伝統文様や素材が、どんどん世界中に広がるといいですね。
我々職人もラグビーチームに負けずに頑張っていきたいと思います。

千葉の山武杉による台風被害について

台風15号が上陸してあれから2週間以上も経過するのに
毎日のように被害の状況がテレビなどのニュースで流れてきます。
被害に遭われた皆さまには心よりお見舞い申し上げます。

復旧が思うように進まない理由として、千葉の杉(山武杉)が風で倒れて電線や電柱を直撃し、その倒木がジャングルのように重なり、重機が現場に入ることができない・・とのこと。
自衛隊まで出動して倒木を運び出しているようです。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190922/dom1909220004-n1.html

国産の杉材を加工する一業者として大変気になっています。

元々、山武杉は千葉県で生まれた建築材、建具材として利用されてきた年輪の詰まった優良な木材です。250年以上前から植林されており、当社でも過去に千葉から取り寄せして使用したことがあります。

通常、このような優良な木が風を受けた場合、倒れるとすれば根元からのはずなのに・・・木の幹の途中からポキッと折れているニュース映像をみて「こんなに強度がない?」と疑問に思っていました。

今朝見たニュースでその謎が解けました。

山や杉の管理者が、<杉を手入れし伐採しても利益がでない>という理由で、杉はそのまま放置されており、その放置された木がスギの病気(溝腐れ病)にかかっているとのこと。今回、木が折れているのは、病気にかかって木が腐っている部分になるとのことでした。

環境問題 木材 溝腐病画像  TBSテレビ/ビビットより

先日行った屋久島のような樹齢数千年の天然杉は、伐採せずに次の世代に残して行く必要がありますが、今回のような人工林は、間引きし伐採して木が太く健全に育つように、常に人が手入れ、管理していくことが必要になります。
(成長に時間のかかる農作物・・・と考えてもらえばいいかもしれません。)

杉の良材を市場に販売することで林業の活性化につながり、今回のような被害を無くすことにもつながります。
また、若い杉材はCO2の吸収の早く、大気の二酸化炭素をどんどん吸収して大きくなります。
脱炭素社会の面でみても日本の杉材を使うことは重要なことです。

しかし、地球温暖化で台風や大雨の勢いや回数が増しており、今回のような災害が他の地域でも今後増えてくることが考えられます。

我々、木工業者ができることは、極力、材料に日本産の木材を使うこと。
そしてお客様にその良さをPRし、使っていただくことだとおもっています。

国内にはこんなに木があふれているのに、使用されている比率は4割ほど。外国産の木材が市場を占めている状況です。

根気よく国産材のPRを続けていきたいと思います。
(タニハタでは2018年夏、主材料を外国産から国内産に切り替えいたしました。)

屋久島に自生する杉「屋久杉」について考える

日本特産の木材である杉(Cryptomeria japonica)は、北海道南部から九州まで日本全国に広く分布しています。

加工しやすく、はっきりした木目が特徴の「杉」は、古くは縄文時代から建築材、船などに使用されてきました。
そんな日本人が好む杉材は、当社でもヒノキと並んで、使用量の多い木材ですが、以前から不思議に思っていることがありました。

それは、「屋久杉」という杉材です。

杉材の産地は、秋田や吉野などが有名ですが、この屋久杉は九州の屋久島に自生している木で、暖かい地域で育つ木でありながら木目が大変細かく、木の中に多くの油を含んでいる杉なのです。

南国でありながらゆっくりゆっくり育っている木なのです。
(タニハタにある木目の幅はなんと0.2ミリ。 )

そして・・・驚きなのがその樹齢です。

屋久島にある最も古い杉(縄文杉)は、樹齢7000年とも言われています。
(ちなみに通常の杉は、長くても樹齢500年くらいが限度です。)

暖かい所で育つ針葉樹は、一般的に成長も早く、木目が粗く、腐りやすいのが普通とされます。

我々の考えている杉材とは、全く違うのだから、屋久杉は本州にある杉とは種類が違うのだろう、と思っていたら同じ種類の杉ということなのです。

そんな不思議満載の「屋久杉」を実際に自分の目でみて、ずっと私が引きずっていた疑問を解決すべく、連休を利用してとうとう屋久島に行ってきました。
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屋久島は、島全体が自然遺産という魅力ある場所。
ジブリ映画「もののけ姫」は、この島をイメージして制作された、と言えばイメージしてもらいやすいかもしれません。
屋久島に自生する杉「屋久杉」について

車でおよそ 2 時間で一周できるほどの小さな島ですが、この島の中にある山「宮之浦岳(みやのうらだけ)1,936メートル」を筆頭に九州の高峰山上位 7 位がここ、屋久島に集中しています。「この島を平たく潰したら、九州と同じ面積になるんですよ。」とガイドさんに言われてびっくり!

高い山々とその裾野に広がる太古の森、美しい南国の海、たくさんの鳥のさえずり 。。
こんなに素晴らしい場所がまだ日本にあるなんて。
立山連峰や深海富山湾など自然に囲まれた場所で暮らしている我々富山県人もびっくりの素晴らしい場所です。


屋久島に来て2日目。 島の中を散策。

島の人は、植林された木のことを「地杉」、
樹齢1000年未満の天然の木を「小杉」、
1000年以上の木を「屋久杉」、と呼ぶそうです。


木が大きすぎて、広角レンズを使用しても全体が写りません。。
木の枝が少しでも日当たりの良いところをめざして、隣の木にめり込んでいます。
長い時間をかけた木と木の戦い。
木のパワースポット、ということで樹齢3000年の紀元杉に触れてエネルギー注入。
(この木は人が触れても問題ないそうです。)

紀元杉や縄文杉など樹齢の長い木は、標高1000メートルから1500メートルに自生しています。この高さは、本州で言えば東北地方の緯度(低い気温)になるそうです。

この屋久島は、花崗岩(かこうがん)できており、堅い岩山のために木が成長するための養分が少なく、気温の低い気象条件と相まって木がゆっくり育つようです。

島全体が岩山のために、水に土や泥など含まず、川の水は透き通っています。
一見、山肌がコンクリートのようですが、全て岩山。。

山頂も岩肌が見えていました。

土が少ないのになぜ木が育つのか?

それは、「苔」がキーポイントになっていました。
岩山には「苔」がまとわりついており、この苔に木の種が付着して育つとのことです。
岩に付いた苔。そこを流れる山の水は、土などを含まないために透き通っています。水は豊富なので屋久島の電力は水力発電です。

「屋久島では、月に35日 雨が降る」という文章を書いたのは林芙美子氏。
洋上に高い山々がそびえ立ち、そこに南の温かい空気がぶつかり、島に多くの雨を降らせます。屋久島の年間降水量は日本一ということでかなり湿度が高い地域なのです。

上記をまとめると屋久島は・・

・土、養分の少ない堅い岩山の地盤である。
・雨が毎日のように降り、湿度が高い(木が腐りやすい)大気である。
・2000メートルの山々が連なり、屋久杉が自生する場所は、標高の高い(寒い)気候である。

杉が生きていくためには、あまりにも厳しい過酷な自然環境ということがわかりました。しかし、ここに自生する杉は、自分を守るために「油」を体内に蓄えることで、雨による浸食、腐食を防いできました。
そしてこの堅い岩盤にゆっくり時間をかけて根を張ることで、数千年と長生きする体ができたようです。

通常、屋外の壁やフェンスなどに木材を使用する時は、木を長持ちさせるために、人工の塗料(油性のペンキなど)を使いますが、屋久杉は、湿度の高い屋外環境に対応するために自らの体に「水」をはじく「油」をため込むようになったということ。
(普通の杉に比べて6倍以上の油脂があります。)

う~~ん・・ まるで仙人のような木。。 自然の不思議ですね。

ちなみに屋久島は、1993年日本で初めて世界文化遺産に登録となり、ここに自生する屋久杉も全面的に伐採禁止となりました。

「材料がないのに屋久杉民芸品などどうやって製作しているの?」
と思われるかもしれませんが、「土埋木 どまいもく」という江戸時代に伐採された時に使用されず林内に放置された木を利用しているとのこと。

森の中を歩いていると時々、横倒しになったなった杉を見ることができます。
江戸時代、綺麗な木目(柾目)がとれる建築向けの真っ直ぐな屋久杉が重宝されたので、そうでない木は伐採されても林内に放置されたそうです。これが「土埋木」として民芸品などに利用されています。

屋久杉は、樹脂を多く含んでいるために、切って屋外に放置された木でも200年~300年経っても腐ることがない、というから驚きです。
(通常の無塗装の杉の場合、屋外で20年も持ちません。)

上記の理由で建築材に向かない曲がった木やねじれた木などは、伐採されなかったようで、現在残っている屋久杉は、そんな訳ありの木が多いとのこと。

しかし、そんな「土埋木 どまいもく」も2016年で搬出終了に。現在、流通している屋久杉製品は、それぞれの工場が持っている在庫品での製造のようです。

もう材料供給されていませんのでいつか在庫がなくなりますね。。

屋久杉に関するいろいろな疑問は、屋久島に来てほぼ解消されましたが、木工業者、建築業者としていろいろ考えることが多かったです。

数百年、数千年生き抜いた屋久杉や天然秋田杉(平成24年度伐採終了)など、モノづくりするものにとって価値のある素材がどんどん市場から消えていきます。この国の自然保護の観点からみて、それは必然のことではあります。

今タニハタがかろうじて確保している良質の組子木材、ヒノキや杉などの国産木材は、林業を仕事にされている方々が、長い時間手間暇かけて育ててきたお陰で手に入るもの。日本の森や林を生かすために、逆に木を伐採して、木を消費する必要性も叫ばれています。

木を加工できることを当たり前と思わずに、「木材」「林業を生業としている方々」に感謝しながら大切に国産材を使おうと改めて思った次第です。

帰りの飛行機、桜島が噴火しているのが見えました。
日本は、ホント自然が深いですね。実感。。
タニハタに在庫している屋久杉はこちら

NHKインターナショナル 「小さな世界企業」の取材がありました。

NHKの関連団体のひとつ、「NHKインターナショナル」は、日本の番組を世界に提供する事業をされています。
その番組のひとつに「Japan’s Unique Local Manufacturers ~ 小さな世界企業」という番組があります。
(日本では放送されていませんのでご存じの方は少ないかもしれません。)

小さくても世界に認められる日本の企業を紹介する番組になっており、この度、弊社タニハタを紹介する映像が制作されました。
(春から取材があり、昨日DVDが届きました。)
NHKインターナショナル 「小さな世界企業」の取材

内容は全て英語になっており、今後世界中のテレビ局で放送される予定とのことです。(日本では放送されません。)

ちなみに制作会社は「サラメシ」「美の壺」「情熱大陸」「世界ふしぎ発見!」などの番組を制作しているテレビマンユニオン様。

https://www.tvu.co.jp/program/Unique_Manufacturers_201907/

日本のモノづくりの心意気が世界に届くように・・・
これからも職人一同精進してまいりたいと思います。
NHKインターナショナル 「小さな世界企業」DVD完成

NC制御の組子溝加工機を導入いたしました。

最近増加しているホテルや駅、空港など商業施設向けの組子仕事の特徴として・・

1 大空間に組子を設置するために1枚あたり3~4メートルの大きなサイズになることがある。

2 ホテル全室に組子を設置することが多く、数百枚など多枚数になることがある。

3 納期が短い現場も多く、数量、デザインに関わらず早く仕上げる必要がある。

組子技術は個人の和室用欄間や書院障子などに使われてきた小さな技術でしたが、
商業施設の納入が増えるとともに、大きな組子サイズ、納入スピード(大きなモーター馬力)が求められるようになってきました。

市場からの要望に対応すべく、今回新たにNC制御の組子溝加工機を導入いたしました。導入した機械は、モーターの大きさが通常の二倍仕様になり、加工テーブルも3メートルの大きな天板になります。タニハタ組子用の特別仕様です。

今回の機械を含めて、当工場の保有する全自動の組子溝加工機は8台となりました。

おかげ様でそれらを使いこなす若い職人達も育ってきています。

労働環境を大幅に見直す取り組み「働き方改革」は、職人世界の場合「作り方改革」でもあるとおもっています。

木工技術、デザイン力、そして生産能力を高めて新しい職人のモノづくりを進めていきたいと考えています。

大工道具 組子用鉋 タニハタ※機械仕事も重要ですが鉋などの大工道具を使いこなすことも、より重要になってきています。

ルイ・ヴィトンのプロモーションビデオに七宝組子を使っていただきました。

ルイ・ヴィトンのプロモーションビデオにタニハタの七宝組子を使っていただきました。 リンク先:インスタグラム:ローラ(@rolaofficial)

https://www.facebook.com/LouisVuitton/videos/1840091062760955

動画のラスト、クレジットタイトルにもtanihataの社名を入れていただきました。

組子の「影」を効果的に使って撮影されています。
ルイ・ヴィトンとローラと組子七宝。
いろいろな場所でタニハタの組子が使われるようになってきました。

動画撮影・編集
株式会社 パラゴン 様
HP : http://www.paragonbaby.com

小学生の組子製作体験

近くの小学校から二年生の子供達が組子製作体験にやってきました。
今回は、三重菱と胡麻組子に挑戦。
作り方を教えなくてもどんどん組子を組み上げていきます。

小学生の組子製作体験
先生から「4年前に組子製作体験した生徒が、先日『大人になったら組子職人になりたい』という作文を書いていましたよ。」というお話しを聞いてとても嬉しくなりました。
木の良さ、ものづくりの楽しさ・・・時間をかけて伝えていきたいと思います。

職人の作業服を江戸時代から続く伝統産業「高島ちぢみ」で製作しました。

職人の夏の作業服が完成しました。
(右・半袖タイプ。 左は今まで着ていた春・秋服です。モデルはうちの女性組子職人です。)
組子職人の作業服を滋賀県の伝統産業「高島ちぢみ」で製作

素材は江戸時代末期から続く滋賀県の伝統産業「高島ちぢみ」で製作。
ちぢみ生地は、表面に加工されたシボ状のしわによって、風通しがよく、汗をよく吸い、早く乾くという特徴があります。
ジトジトと高温多湿な日本の夏に、理想的な素材です。

京都の和ブランド「sousou」さんが伝統的でありながらも、颯爽とした機能美を感じさせる作業服に仕立ててくれました。

工場 作業服 和風 制服
襟足部分にタニハタのロゴマーク「麻の葉」も刺繍していただきました。
注文してから完成まで5ヶ月かかりましたが、待った甲斐がありました。

(ちなみにsousouさんは現在公開中の映画「キングダム」で衣装協力されているメーカーさんです。)

古くから引き継がれた組子以外の日本の技術や意匠を会社の中に少しでも取り入れていきたいと思っています。

中東ドバイのメディアにタニハタ組子をとりあげていただきました。

Tharawat Magazineは世界中の中小企業・家族経営に焦点を当て、そのストーリーと経営するためのヒント、情報を発信する雑誌です。
中東ドバイを拠点に情報発信されているマスメディアです。

2019年春号の最新号で、世界の職人技の未来を探る内容として「The Future of Craftsmanship~これからの職人技」特集が組まれ、タニハタの組子が取り上げられました。

今号では、タニハタ(日本)の他にもカナダ、イタリア、ポルトガル、スウェーデン、アメリカ、エジプト、台湾、イギリスからの会社が取り上げられています。
雑誌をみた方から早くも問い合わせがありました。

https://www.tharawat-magazine.com/magazine/the-future-of-craftsmanship-issue-42-may-2019/

https://www.tharawat-magazine.com/craftsmanship-42/special-features-42/tanihata-kumiko-ramma/

中東ドバイのメディア タニハタの組子

「城端曳山祭」に行ってきました

富山の小京都と言われる南砺市城端の祭り「城端曳山祭」に行ってきました。
このお祭りはユネスコの無形文化遺産および国の重要無形民俗文化財に認定されているお祭りで300年の歴史があるお祭りです。
(「世界遺産」もユネスコが認定するものですが、こちらは有形の文化財になります。)

以前、タニハタで修行した組子職人から「城端の庵屋台が精巧な細工で修理するのが大変だった」という話しを聞いて、いつかこのお祭りを見たいと思っていたのですが長いGWでやっと実現しました。

「城端曳山祭」富山県

豪勢な6基の曳山、庵屋台が、城端の旧市街を厳かに曳き回されるのがこの祭りの特徴ですが、もうひとつ・・紋付き羽織の青年男子達が(20代~30代中心)艶っぽい小唄を歌いながら古い街並みを練り歩くという何とも粋な祭りなのです。

例えば
「薄墨」という曲(安政5年・1858年 にできた唄)

薄墨に 書く玉章(たまずさ)の思いして 雁啼き渡る宵闇に
月影ならで 主さんに 焦がれて 愚痴な たたみ算
思い廻して ままならぬ 早く苦界を候かしく

月影がでている夜、游里の女性が恋しい待ち人が来るか来ないか・・
たたみ算という占いをしながら待ち焦がれている内容になっています。
こういう江戸時代からの艶っぽい端唄が数十曲伝承されており、城端の若衆が曳山と共に唄いながら練り歩く風情のある祭りなのです。


繊細な組子細工もはめ込んであります。

城端の建築意匠や家屋の室礼も素晴らしく、人々の立ち振る舞いや美しい屋台が「ぎしぎし」ときしみながらゆっくり進む風景と相まって、心から日本の伝統文化に酔いしれることができる素晴らしい祭りです。


祭りは年に一回ですが、「城端曳山会館」という場所に行けば曳山や哀愁を帯びた庵唄も聞くことができます。富山のおすすめスポットです。

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